<矢島里佳の新聞clip6.19号>日本全体のお金の回り方を変えるために

現場を知らずに政策を考えると実情とずれる。官僚のみなさんも働き方を変えましょう!

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 連載中の「和える」の矢島里佳代表の新聞clip

 1週間の日刊工業新聞の記事の中から3本、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。

 みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
 ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。

 今週、選んだのはこの3本です。

 ●自社栽培で安心感(資生堂が化粧品原料を=6月12日付)
 ●アパレル完全IT化(ユニクロが業務効率化・利便性追求=6月16日付)
 ●新人官僚、町工場に学べ(都内2区が視察受け入れ=6月17日付)

 行政の方々とお話しをすると、現場を全く知らない方にお会いすることも多いのが実情です。(もちろん、地域を愛し、とても詳しい方もいらっしゃいますが。)やはり政策を考える方々が、現場を知らずに考えるので、実際とずれた内容のものが多いように感じていました。このような取り組みは、官僚の方々の働き方が変わると、日本全体のお金の回り方も変わるのではないでしょうか。

 IT化の記事について。ITの活用により、働き方を大きく変えようとしている。グローバル展開において一気通貫のシステムは、商品開発・マーケティング・物流において、業務効率化だけでなく、言語の問題や戦略策定にも大きく寄与するのではないでしょうか。一方で現場の声や工夫を反映させにくい構造になってしまいがちです。お客様にとって実店舗とEC店舗の違和感がなくなるだけでなく、現場にとってもより、社内システムに寄与していけるような人材の採用と育成、そして社内システムの構築は必須になってくる。

 
 <新人官僚、町工場を行く>

 人事院公務員研修所が中央官庁の新人“キャリア”職員を対象とした研修に、東京都内の町工場を見学するカリキュラムを組んでいる。モノづくりの現場を見て社長らと意見交換することで、企業の課題を感じたり、将来の政策立案に生かしたりするなど、行政機関としての立ち位置を考えてもらうのが狙いだ。従来は都内の特定の1区で実施していたが、9日は東京都荒川区と板橋区という2区合同で初めて実施。研修生は技術力の高さに感銘を受け、産業育成の重要性を認識したようだ。

 人事院公務員研修所が実施している初任行政研修は「将来、中核的な要員となると期待される新規採用職員」、いわゆるキャリア官僚を対象に、官庁横断的に実施している。

 企業の現場訪問は今回が4回目。中小企業を訪れ、社長などと意見交換して政策立案の際に現場を知る重要性を学ぶとともに、行政へのニーズを感じ取って、行政のあり方を認識させるのが目的だ。

 今回は荒川区と板橋区の2区合同で受け入れを実施。3回目の実施となる荒川区からは12社、初めて実施する板橋区からは6社の計18社が参加した。同研修所の二井矢洋一教授は「毎回複数のチームに分かれて10社以上を見学しており、1区だけだと賄いきれなくなる可能性がある。荒川区と板橋区の企業は業種が幅広い上、新人育成に理解があり、実のある研修ができると感じた」と理由を話す。

 9日は15省庁の123人が9グループに分かれ、それぞれの区に向かった。西川太一郎荒川区長は研修生にあいさつし「上から目線にならずに、国民としての意識を忘れず、産業の現場をしっかり見て実務に生かしてほしい」と産官が連携する重要性を強調した。

 中央バフ製作所(荒川区)は、研磨布(バフ)で10円硬貨を研磨する現場を紹介。使い古された硬貨が新品同様となる様子に歓声が上がった。総務省の古内拓さんは「実際に視察して、技術の高さに感動した。その技術の良さを広めていくことが大切だと感じた」と感想を述べた。

 厚生労働省の山本真帆さんは「町工場はテレビドラマの『半沢直樹』に出てくるネジ工場のイメージだったが、自動化が進んでいて驚いた。一口に町工場といってもさまざまな会社があると感じた」。研修の意図は伝わっている模様だ。倉沢正行社長は「今後もこのような企画があれば、協力していきたい」と話す。

 一方、技研精機(板橋区)の田仲稔製造部主幹は「今日の出来事を念頭に、10年後の日本のモノづくりを国全体で守るような策を作ってほしい」と要望した。同社は2輪部品の製造などを手がける。見学中にバイクの動作テストを実施し、エンジン音に興奮する参加者も。バイク好きだと言う環境省の森俊貴さんは「非常に有意義な体験をした。将来自分の担当する職務で、今日学んだことを生かせるように頑張りたい」と目を輝かせた。

 現場訪問には町工場の声を感じ取る以外の目的もあるという。二井矢教授は「中小企業の社長は『地域のおかげで生かされているのだから、地域に恩返ししたい』と考える人が多い。省庁の職員も国、地域のために働くもの。似たようなマインドを持つ人が民間にいることを知ってもらいたい」と話す。

 同研修所の藤本賢一郎専門官は「この視察を通じて、近い将来に国の進む道を提示していけるように成長してほしい」と語る。これらのメッセージと町工場から学んだことが、次代の日本を動かす原動力になりそうだ。
 (文=山田諒、茂木朝日) 

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矢島里佳
和える
代表

自社栽培に付いて。原材料も自社で生産。そんな働き方が増えてくるような気がしています。「和える」も将来的には、自社で漆や木材、楮などの原材料を生産・供給できるようになりたいと思っています。自分たちで使うものは、自分たちでこだわりを持って作る。特に伝統産業は、他社に頼ってきたため、周りが生産をやめてしまうことで、続けられなくなってしまうという問題が多発しています。

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