地球の周りはゴミだらけ…掃除のためのあの手この手

アストロスケール・中島田鉄工所など

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地球周辺にある宇宙ゴミのイメージ(ESA提供)
 宇宙開発に各国がしのぎを削る中、超小型衛星の打ち上げ数も伸びている。同時にロケットや衛星などの残骸、それらがぶつかってできた破片などの「宇宙ゴミ」(スペースデブリ)が地球の周りで増え続け、宇宙開発に水を差そうとしている。

 宇宙ゴミ除去の研究開発では、欧米の研究機関がロボットアームや網で捕獲する方式などを提案しているが、まだ検討段階。日本では宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2月に国際宇宙ステーション(ISS)用の国産物資補給船「こうのとり」を利用し、宇宙ゴミ除去の要素技術の実証実験を行った(実験自体は失敗)。

 こうした中、日本発の宇宙ベンチャーでシンガポールを拠点とするアストロスケールは、超小型衛星を使った宇宙ゴミの除去に取り組んでいる。同社代表の岡田光信最高経営責任者(CEO)は、「世界中で宇宙開発の熱が高まっているが、地球を回る軌道はゴミでいっぱい。このままでは宇宙が利用できなくなる」と危機感を募らせる。

 同社は、宇宙ゴミ除去の超小型実証衛星「ELSA―d」の19年前半の打ち上げを目指し、準備を進めている。衛星には仮想の宇宙ゴミを内蔵。軌道上で仮想の宇宙ゴミを分離させた後、衛星が対象物を捕まえ、衛星ごと大気圏へ再突入して燃え尽きる計画だ。
アストロスケールの宇宙ゴミ除去技術実証衛星「ELSA−d」

 宇宙ゴミ除去に向け、同社は12日にJAXAと共同研究契約を結んだと発表。JAXAは宇宙ゴミへの接近・捕獲技術に関する試験技術の提供や、同衛星の画像データの評価などで協力する。「宇宙ゴミ除去サービスを20年までに始めたい」(岡田CEO)と事業化に向けて取り組みを加速している。

 一方、衛星自体をゴミにしないための取り組みも始まった。中島田鉄工所(福岡県広川町)と東北大学の桒原聡文(くわはら・としのり)准教授は、宇宙空間で薄い膜を展開して軌道から離脱できる超小型衛星「フリーダム」を開発した。

 衛星に内蔵した装置「ドム」が軌道上で薄膜を展開。空気抵抗を受けた衛星が減速し、大気圏に再突入することで、不要となった衛星を処理する仕組みだ。1月に地球周回軌道に投入され、その後薄膜を展開し2月に大気圏への再突入に成功している。

 この衛星の質量は1・3キログラムと手のひらサイズ。桒原准教授は、「今後50キログラム程度の衛星に適用できるようにする。宇宙ゴミ除去装置として世界標準を目指したい」と意気込む。

 国内ではロケットや人工衛星の打ち上げ管理などを定めた「宇宙活動法」が11月にも一部施行となり、条件を満たした企業がロケットや衛星を打ち上げられるようになる。同時にこれは宇宙ゴミの増加も意味しており、ゴミを掃除するニーズはさらに高まっている。日本の技術力を駆使し、他国に先駆けたサービスの展開に期待が集まる。
(冨井哲雄)

日刊工業新聞2017年9月15日

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局DX編集部
記者

「山のゴミは各自で持ち帰りましょう」のように、宇宙にモノを打ち上げたら自分たちで回収する、というような流れができればよいのですが。

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