「走る蓄電池」が「走る発電所」に!

日産がリーフを電力需給調整に提案

ディーラーで充電中のリーフ

 日産自動車が電気自動車(EV)「リーフ」を使ったエネルギーマネジメントの提案を推進している。2014年度はエナリスが実施したデマンドレスポンス(DR、需要応答)の実証に参加し、リーフの蓄電池からの放電で電力需給を調整した。3月にはスペインの電力会社と電力系統の安定化にリーフを活用する技術の共同開発で合意。“走る蓄電池”としてスマートコミュニティーを支える基盤となることを目指している。    【ディーラー参加】  DRは電力が不足しそうな時、需要家が節電に協力して電力需給を調整する。エナリスの実証には日産のカーディーラー4店が参加した。節電を要請するDR依頼がエナリスから届くと店舗スタッフはリーフを充電器に移動させ、充電プラグをつなぐ。開始時間になると自動でリーフから店舗への放電を始める。実施中は店舗の電力の一部を放電で賄い、電力会社からの電力購入を抑える。  実証では14年10月―15年1月に15回、DRの発動があった。1回当たりの節電時間は2―3時間。1日前、1時間前、30分前、5分前にDR要請のメールが届く。日産バッテリー事業本部の林隆介主担は「30分前がうまく機能した」と話す。  1日前だと当日に試乗が入る場合があり、リーフが店舗にあるかどうかわからず計画を立てにくい。5分前だと充電器への移動に時間がかかる。30分前だと試乗がなければ移動がスムーズにでき、DRに間に合った。  DRへの本格的な活用で期待するのが家庭のリーフだ。マイカー利用が休日中心の家庭だと平日の日中、リーフが駐車していることが多い。ほとんどが満充電と考えられ、急にDRが発動されても放電できる。  【10万台で40万キロワット】  EVの普及とDRの仕組みが確立されれば電力会社は一時的な電力不足を解消できる。DRへの協力金を受け取れればEV所有者には休日の利用以外にもメリットが生まれる。電力会社の代わりにDRを取りまとめる事業者にも駐車中のEVの台数がわかれば節電量を予測しやすい。実証ではリーフ1台から4キロワットの電力を放電した。10万台あれば火力発電所並みの40万キロワットの電力を賄える。  【余剰電力を吸収】  日産は3月、リーフの電力を電力系統に送る「V2G(ビークルツーグリッド)」技術の共同開発でスペインの電力会社エンデサと合意した。再生可能エネルギーの発電量の変動をリーフで緩やかにし、系統を安定化させる。米ハワイ州での新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のスマートコミュニティー実証でも風力発電の余剰電力の吸収にリーフが使われている。実証案件が増え「リーフが系統安定化のソリューションになる」(林主担)と手応えを語る。

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