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専門医が勧める糖尿病の治療に有効な運動とは

有酸素とレジスタンスがミックスされた水中歩行
 おなかをつき出し、ビールを飲みほしながら「俺はメタボなんか平気さ」と言い放っているあなた。本当に「メタボリック症候群」についてご存じでしょうか?メタボとは肥満が基となり、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常が積み重なった状態をいいます。

 これらの病気は単独でも脳卒中や心筋梗塞の発症を2・5倍高くしますが、重なるとよりリスクが高くなることは、お分かりになりますね。四つの異常を持つ人は「死の四重奏」とも呼ばれています。このメタボに有効なのが、糖尿病治療の2本の柱である運動療法と食事療法です。

 運動は、有酸素運動とレジスタンス運動に分類されます。有酸素運動は歩行、ジョギング、水泳などの全身運動のことで、糖尿病への効果としてはインスリンの働きを正常化させます。

 レジスタンス運動はダンベルなどを使って筋肉に負荷をかける無酸素運動で、筋肉量を増し、基礎代謝量を増加させることで、安静時でも血糖が下がりやすくなります。普段あまり時間がない人は、通勤の際、一駅前で降りるとか、遠回りして歩く距離を伸ばすとか、会社や駅でエレベーター・エスカレーターを使わず階段を使うとか、日常生活を工夫するだけでも効果があります。好きな人は、昼休みにゴルフクラブ100回程度の素振りも有効です。運動は毎日の積み重ねが大切です。

 私のお勧めは有酸素運動とレジスタンス運動がミックスされた水中歩行です。膝や腰に負担が少なく、すべての人に、安全かつ効率的な運動です。プールが無理な人には、散歩、ウオーキング、サイクリング等の有酸素運動がお勧めです。食後1―2時間以内に15―60分行うと効果的です。

 さらに、工夫して栄養バランスのよい食事を摂ることで、体重は確実に減少します。カロリーに気を付け、3食きちんとよく噛(か)んで、食物繊維が多いものから食べること、就寝の2時間前には食事を済ませることを続けましょう。

 長続きのコツとして、時々のおいしい外食をご褒美としてもいいです。食事療法と聞くと、カロリーを抑えたさみしい食事を連想します。でも無理な摂食や我慢は長持ちしません。食事は毎日の生活の中で幸せな時間です。ルールを守り、おいしい食事を楽しみたいものです。運動も食事も自分の病態を理解し、継続することが大切です。
                 

(文=長谷川修・平成立石病院名誉院長)
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
自分は予備群ですが、食事制限はできてもなかなか運動までは・・。

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