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農水省、ヤンマーらと自走農機を開発。準天頂衛星活用も

中規模の農家で実証実験、2018年末の実用化を目指す
農水省、ヤンマーらと自走農機を開発。準天頂衛星活用も

自動走行システムを後付けできるようにすれば農家側の負担も小さくなる

 農林水産省は2018年末の実用化を目指し、農業機械の自動走行システムを農機メーカーなどと共同で開発する。有人トラクターでもう1台の無人トラクターを制御する自動走行システムの実証試験を今秋をめどに始める。19年以降は無人化のレベルを上げ、遠隔監視によるロボット農機を開発する。内閣府が行う準天頂衛星の活用もにらみつつ自動走行の精度向上を狙う。

 ヤンマーや井関農機など大手農業機械メーカーと共同で開発する。GPSの情報をベースに農機を自動走行させる。農家が実際に使えるシステムを目指し、中規模の農家で実証実験する計画だ。

 実験では走行精度の検証や使い勝手などを実証する。高精度が維持できれば自動走行時に農機が隣の畝(うね)を壊したり、同じ畝に2回肥料をまいたり、まいてない畝ができたりするなどのミスを防げる。既存農機に自動走行システムを後付けできるようにすれば農家側の負担も小さくなり、普及を促進できる。

 同省ではトラクターだけでなく、コンバインや田植え機など複数種の農機に応用する計画。乗用車の自動走行と異なり、農機の自動走行は数センチメートル単位の精度が要求される。GPSでは精度補正のため新たに基地局を建てる必要があり、数百万円の費用がかかる。このため将来は数センチメートルの測位ができる準天頂衛星の活用や量産効果でさらにコストダウンし、普及につなげる。
日刊工業新聞2016年9月15日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
コスト次第だが期待したい取り組み。いかに農家への導入を進めていくか。安易な補助金バラマキではなくて。

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