2050年までにGDPが6%減少する「水リスク」と向き合う

気候変動、難民問題と同じレベルでダボス会議が警告

 世界銀行は5月、気候変動による水不足の深刻化が世界経済に及ぼす影響をまとめた報告書を発表した。今後の人口増加や都市部の拡大によって水の使用量も増大するため、十分な水を確保できない地域が出てくると予想。対策がなければ中央アフリカ、東アジア、中東などは2050年までに国内総生産(GDP)が6%減少する可能性があると指摘した。  経済界も将来の水不足が経営に打撃を与える「水リスク」への警戒を強めている。世界経済フォーラム(ダボス会議)は経済活動への影響が大きく、発生する可能性が高いリスクとして気候変動や難民問題と並んで水問題を挙げた。  水不足が起きると、穀物や飲料メーカーは事業が立ちゆかなくなる。取水制限や水道料金の高騰にさらされると、ほとんどの製造業も操業に支障が出る。  インターリスク総研(東京都千代田区)事業リスクマネジメント部の寺崎康介上席コンサルタントは「水リスクが現実のものとして認識されてきた」と話す。中でも機関投資家が敏感だ。  気候変動問題への取り組みの評価で事実上の世界標準となっている英の非政府組織(NGO)「CDP」が、世界の大企業1237社に水リスク対策を聞く質問状を送っている。回答は公表され、投資家が企業を選ぶ基準にしている。  寺崎上席コンサルタントは投資家が注目するポイントとして操業リスク、規制リスク、評価リスク、市場リスク、財務リスクを挙げる。もし事業が制約を受けるリスクがある企業なら、投資を避けようとする。  また、「水リスクを評価することが重要」(寺崎上席コンサルタント)と指摘する。現状では水不足に直面していなくても、事業を見渡して水不足の影響を受ける可能性があるかどうかを調べるように投資家は求めている。リスクを認識している企業なら今後、対策を講じる企業として評価できるからだ。  企業もリスクを発見できれば、操業への影響が大きくなる前に対応できる。水使用量の削減に取り組む場合でも、全拠点一律ではなく、優先順位を決めるなど戦略的な対策が可能だ。  インターリスク総研は住所と水使用量から拠点別の水リスクを簡易評価するサービスを提供している。将来の水枯渇の可能性を気候変動や上流域の保全状況などから検証できる。他にも工場が立地する下流域の生態系や流域の希少生物も評価する。すでに機械メーカーからの引き合いが増えているという。

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