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従来の敏感肌市場から飛び出すディセンシア。脱“避難コスメ”へ

心理的ストレスへの対応商品投入。オーガニックや無添加コスメも見据える
従来の敏感肌市場から飛び出すディセンシア。脱“避難コスメ”へ

敏感肌用化粧品ブランド「アヤナス」

 ポーラ・オルビスホールディングスの子会社で敏感肌用化粧品を手がけるディセンシア(東京都品川区、小林琢磨社長)が新たな層をターゲットに市場開拓を進めている。同社は、敏感肌を引き起こす原因の一つとして「心理的ストレス」が関与していることを解明した。従来の敏感肌の症状に悩む女性だけでなく、今後はストレス社会で働く全ての女性をターゲットにした新製品を市場投入する。

 「従来の敏感肌市場から飛び出す」―。こう話すのは小林社長だ。敏感肌用化粧品ブランド「アヤナス」を刷新し、化粧水や美容液など7品を11月1日に発売する。同社は、敏感肌用のスキンケア化粧品やメーキャップを通信販売で展開しているが、新製品の発売を契機に「敏感肌市場にとどまらず、オーガニックコスメや無添加コスメなども競合に見据える」(小林社長)と言う。

 敏感肌とは、刺激に対して過敏に反応する肌のこと。角層のバリア機能が弱まり、肌が本来の機能を果たせなくなっている状態をさす。これまでの敏感肌の肌荒れの原因は、強い化粧品など物理的刺激や季節の変わり目による変調、幼少期アトピー因子などが原因とされてきた。

 しかし、近年は女性の社会進出に伴いストレスや睡眠不足、偏った食生活や飲酒、喫煙といった外部環境が引き金になり、年齢に関係なく免疫力が低下する“現代型免疫低下”が増加。同社は、これにより皮膚の温度の低下に伴い肌のバリア機能も低下、敏感肌を引き起こすことを解明した。小林社長は「間違いなく“心理的ストレス”が、今後の最大要因になる」と指摘する。

(「アヤナス」を刷新、化粧水や美容液など7品を11月に発売)

 肌トラブルの際、働く女性は肌に優しい化粧品を支持する。そうした化粧品は自然素材を用いたオーガニックコスメ、専門医が開発したドクターズコスメ、添加物が入っていない無添加コスメなどだが、その総称が「安心・安全コスメ」だ。

 同社によると、15年の敏感肌市場は前年比2%増の595億円。敏感肌市場を含めた安心・安全コスメ市場全体では、市場規模は4000億円までに拡大する、という。

 また、敏感肌化粧品は“避難コスメ”や“お助けコスメ”とも呼ばれ、その使用法は肌が荒れたら使い、治れば従来のスキンケアに戻るという限定的なものだった。一方、安心・安全コスメは、常時の継続使用が期待できるため、同社は商機が大きいと判断した。

 新製品は、海藻や朝鮮ニンジンから抽出した複合成分で、心理ストレスによる肌ダメージを改善する。小林社長は、アヤナスの売り上げ目標を「前年比(15年12月期比)50%増を目指す」とし、「3年以内に百貨店に展開したい」と意気込む。
(文=山下絵梨)

日刊工業新聞2016年7月29日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
花王の敏感肌向けブランド「キュレル」の販売も好調という。ファンケルも「無添加」を売りにした商品を発売している。最近は化粧品メーカーも肌関連の研究に力を入れておりiPS細胞まで踏み込むケースもある。自社の研究開発資産をブランドにどう落とし込んでいくかが課題だろう。

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