本業こだわらず電力小売り進出―リコージャパン、省エネ機器セット提案

 リコージャパン(東京都港区、佐藤邦彦社長、03・6837・8800)は、オフィス複合機メーカーの販売会社でありながら、電力販売に進出した。省エネルギー提案や太陽光発電所の運用・保守(O&M)サービスも手がける。得意のオフィス関連事業へのこだわりを取り払い、同社独自のスマートコミュニティー(次世代社会インフラ)事業を見つけた。    リコージャパンは2015年10月、新電力となって関東と関西地区で電力小売り事業に参入した。16年2月には東北、中部、九州にも営業を拡大し、事業所500件以上に販売する。  発光ダイオード(LED)照明やダイキン工業などのエアコンといった省エネ機器も、電力の契約者に提案する。電力販売をきっかけに収集した電力使用データを根拠に「この機器に代えたら、これだけ電力を削減できる」と、説得力を持った営業を展開する。  「こんな電力会社は珍しいんじゃないか」。リコージャパンの染川聡一郎スマート&エネルギー事業部長はこう語る。省エネ機器の提案は、電力販売の減少につながる。電力会社としては利益が減るが、「顧客への価値が広がる」(染川部長)と意に介さない。  電力事業は顧客価値を基準に、既存の事業領域にとらわれずに参入を決めた。主力製品のオフィス複合機も省エネ化が進んでいるが、電力消費量はオフィス全体からみるとわずか。電力販売なら電力コスト自体を削減でき、顧客に大きな貢献ができる。省エネ機器の紹介も同じだ。  「リコーグループの強みを使う」(同)ことも忘れない。リコージャパンは太陽光発電事業者から、運用・保守も請け負っている。複合機の稼働状況を遠隔から監視するシステムを活用し、太陽光発電所100件を遠隔監視している。異常発生時には、複合機の保守員が急行する。全国に張り巡らせた複合機のサービス網が生かされている。  普及が進む電気自動車(EV)の充電器にも、複合機の遠隔監視とサービス拠点を活用して保守サービスを提供する。  「我々の強みをどこにぶつけたら良いか、という視点から事業を考えた。オフィスありきではなかった」(同)という。既存事業の枠を外したことで、経営資産を有効利用できる新規事業を見つけた。いずれは地方自治体など、地域にもリコーグループの資産を活用したサービスを提案し、スマートコミュニティーへと発展させる考えだ。  エネルギー関連技術を持たないため、スマートコミュニティーとは無縁と思われる企業も多い。  しかし、視点を変えると、スマートコミュニティーに携われる技術や製品を持つ企業も存在する。まだまだスマートコミュニティーへの参入余地がありそうだ。 (文=松木喬) 【関連イベント】

続きを読む

特集