アップル減速も、日の丸デバイスの勢い止まらず

中国スマホの台頭も追い風に

右は世界最小サイズの積層セラミックコンデンサー「0201」

**想定の範囲内  昨夏、米ガートナーが発表した2015年4―6月のスマートフォン販売調査が、電子部品業界の心胆を寒からしめた。中国でのスマホ販売数が初めて前年度実績を下回ったからだ。さらに昨年末から米アップルの最新スマホ「iPhone(アイフォーン)6s」が低迷、16年1―3月の生産調整が報じられた。好調を続けてきた電子部品各社の株価も下落。いよいよ先行きに暗雲が漂い始めたかにも見える。  もっともスマホ銘柄である村田製作所やTDKなど大手部品メーカーは依然として強気の姿勢を崩していない。村田製作所の村田恒夫社長は「報道にあるような内容は想定の範囲内」とし、TDKの上釜健宏社長も「織り込み済み。昨年が良すぎただけ」と一笑に付す。影響には濃淡があるものの、京セラの山口悟郎社長が「アップルの減産は想定より早かったが、一本調子にはいかないもの」と話すように、総じて冷静な反応が多い。  その背景には、やはり中国の動向がある。中国市場そのものは鈍化したとしても、「中国メーカーはインドや東南アジアへの輸出を増やしている」(村田社長)と、その存在感はむしろ高まっているからだ。台湾の調査会社であるトレンドフォースによると、15年のスマホ販売台数で上位10社のうち7社を中国メーカーが占め、中国系シェアは40%を超える。16年には45%に達すると予想する。  実はここに日系部品メーカーが食い込んでいる。新興メーカーほど、スマホの頭脳部分の半導体を担う米クアルコムや台湾メディアテックなどが提示するリファレンスデザイン(参照設計)に沿って商品開発を進める。  この参照設計では性能や品質で間違いない定番部品、つまり日本製品が採用されているというわけだ。加えて新興国市場でも高速無線通信「LTE」の普及が進むため、積層セラミックコンデンサーや高周波デバイスなど送受信に関わる部品の搭載数は増え続ける。  モノのインターネット(IoT)が広がれば、ゲートウェー(情報などの入り口)の機能を果たすスマホの市場拡大や高性能化は当面続くとする見方が有力。実際、通信回線を束ねて高速化するキャリアアグリゲーションの動きも急だ。もちろん日本の部品メーカーが今後も主役を張り続けられるとは限らない。今日の勝者が明日の敗者となるように、スマホ業界の栄枯盛衰は激しい。グローバルではM&A(買収と合併)による部品業界の再編も加速。日本の電子部品業界にもよりダイナミックな動きが求められる。

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