自動車の軽量化を考える(10)知恵絞る部品メーカー

2万―3万点の部品で構成する自動車にとって一つの部品の重さは小さい。ただ一つひとつの改善が大きな効果を生む

ヨロズは一体成形による部品点数の削減や軽量化に取り組む

 1台の自動車は2万―3万点の自動車部品から構成される。重さがトン単位にもなる車全体から見ると、一つひとつの部品単体の重量は小さく、部品の軽量化の影響は小さいが、部品メーカー各社は軽量化に知恵を絞っている。   【原価低減実現】  1グラムでも軽く―。部品メーカー各社は独自の取り組みで各社は完成車メーカーの要求に応えている。    ヨロズは一体成形による部品点数の削減や軽量化に取り組む。ブレーキペダルの取り付け部に当たる前面板はこれまで、車体とボルトで締結するための穴を4隅に開けたプレートに、4個のスペーサーを1個ずつプロジェクション溶接で成形していた。同社はプレート部分をプレス加工で一体成形し、スペーサー部分を深絞り加工する独自手法を開発。一体構造により従来と比べ約38%の原価低減を実現したほか、重量を125グラムと同約27%軽量化した。同社の佐藤和己社長は設計段階から部品点数の削減や共有化などに取り組み、「ますます激しくなる価格競争に対応していきたい」と意気込む。 【日本初の量産】  豊田合成はエンジン冷却水などを流す配管「樹脂ウォータパイプ」を、射出成形と高圧水を組み合わせたウォーターアシストインジェクション工法を使って開発した。同工法で樹脂ウォータパイプを量産するのは日本初で、従来の金属製パイプに比べ約40%軽量化した。トヨタ自動車が7月末に発売した高級車「レクサス」の小型スポーツ多目的車(SUV)「NX」に搭載されている。  同工法は金型に流し込んだ樹脂の外側が固まり始めると、高圧水を中心部付近に噴射してパイプの中空構造をつくる。量産化に向け強度などが最適なナイロン系素材を選んだ。金属では加工が難しい複雑形状にも成形できるうえ、パイプと付属部品の一体成形で部品点数の削減も可能だ。  住友ゴム工業の最新のタイヤ工法「NEO―T01(ネオ・ティーゼロワン)」は、タイヤの10%軽量化を実現した。タイヤの内側の形状をした金属製の型(メタルコア)に各種部材を張り付ける「メタルコア工法」を採用。仕上がりのタイヤサイズに合わせてメタルコアをつくることで、従来工法よりもタイヤの成形を高精度に行う。コンピューター制御により100分の1ミリメートル単位で部材を張り付け、各部材の重量を最適化した。 【欧向け発売】  同工法を採用した第1弾商品として、欧州向けのランフラットタイヤを14年7月に発売。年内に日本でも新工法採用タイヤを発売する計画だ。  ニッパツは従来の金属製シートバックフレームを樹脂の一体成形品に代替することで軽量化する技術を開発する。部品点数の削減による生産の効率化や意匠性の向上も見込める。使用する樹脂は顧客のニーズに合わせ、ガラス繊維や炭素繊維配合のものだけでなく、繊維を配合しないものも調整できるという。開発品の使用材料は明らかにしていないが、金属製フレームと同等の剛性で33%の軽量化を実現した。  独ゼット・エフ(ZF)は16年の完成を目指し、複数の金属部品を樹脂製のリーフスプリングで代替する足回りシステムの開発を進めている。樹脂部品の断面形状や設置場所を最適化することで車輪制御やバネ特性を持たせ、スタビライザー・バーやスタビライザー・リンク、コントロール・アーム、コイルバネの部品群を置き換える。効果は車種によるが開発品ではサブフレームやダンパーを含む足回りシステムを約8キログラム軽量化できるという。

続きを読む

特集