保険会社がスポーツイベントに注力―医療費抑制なるか

健康づくり後押し

三井住友海上が開いたライニング教室

 保険会社がスポーツを通じたイベントに力を入れている。三井住友海上火災保険は女子陸上競技部の選手によるを実施、第一生命保険も全国の市民マラソン大会への支援を始めた。地域交流が本来の目的だが、医療費抑制が社会的課題となる中、健康増進を後押しすることで社会問題への対策の一翼にもなりそうだ。  女子マラソンで日本歴代2位の記録を持つ渋井陽子選手ら多くの名選手を輩出する三井住友海上。同社は女子陸上競技部の活動拠点がある東京都町田市で、地域交流を目的としたランニング教室を毎年実施している。  3回目となる9月のイベントには町田市民を中心に約100人が参加し、選手からランニングの指導をうけるなど親睦を深めた。参加した40代の男性は「けがを予防できる走り方を教わることができた。貴重な機会だし、来年も参加したい」と話した。  保険業界ではスポーツを通じて地域交流や健康増進を図るイベントを進めている。第一生命は東京マラソンなど全国15の市民マラソン大会を支援するプロジェクトを6月からスタート。大会への協賛活動に加え、同社女子陸上競技部の元選手でロンドン五輪にも出場した尾崎好美さんをゲストに招いたランニング教室なども開く予定という。こうしたイベントは地域交流だけでなく、健康増進を通じて年々深刻化する医療費抑制にもつながる意味合いもありそうだ。  厚生労働省によると2014年度の国民1人当たりの医療費は31万4000円と過去最高を更新し、総額も40兆円を突破した。医療費の自己負担が少ない高齢者の増加に伴って、医療費の増加に歯止めがかからない状況が続いている。  健康増進による医療費削減は国が掲げる施策の一つ。10月にはスポーツ庁が設置され、スポーツを通じて健康増進や地域のコミュニティーづくりを図る動きが今後、強化される見通しだ。  こうした国の動きに呼応するように業界団体での取り組みも始まっている。生命保険協会は健康増進の啓発事業をスタート。ウオーキングのイベントや健康増進に係る講演活動などを全国で実施し、14年は全国4カ所の開催で延べ約1万8000人が参加した。  生保業界は社会保障の補完産業として担う役割が高く、社会医療費の抑制にも業界をあげて取り組んできた経緯がある。同協会は15年も活動を継続し、全国6カ所で開催する計画だという。  地域交流を目的とした保険会社のイベントはスポーツを通じ、健康増進を後押しすることにつながる。こうした取り組みは、個人レベルの病気予防はもちろん、医療費抑制という国の社会的課題への対策にもなるため、その役割は年々高まっていきそうだ。 (文=杉浦武士)

続きを読む

特集