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【新型コロナ】200人以上の医師が24時間対応、医療アプリは何がすごい?

新型コロナウイルスによる感染症が全国的に広がる中、オンラインでの医療相談に高い関心が集まっている。場所や時間を問わず、病態に応じて医師による適切なアドバイスを受けられるとあって、人気だ。特に今のように外出や医療機関を受診すること自体にリスクがあるような状況ではなおさら。現在主流なのは、アプリとしてスマートフォンに入れる形式。これなら家事や仕事の合間のちょっとした空き時間でも気軽に相談できる。

中でも人気なのがで現役の専門医が実名で200人以上登録して相談に応じるアプリ「LEBER」だ。診療科目は内科や外科、 感染症内科など45にも及ぶ。個人の利用だけでなく、社員の健康管理が経営に直結することから、中小企業での導入も増えている。LEBERを運営するAGREE(茨城県つくば市)の社長で現役の医師である伊藤俊一郎氏は、「お医者さんは今まで遠い存在だったかもしれませんが、LEBERならスマホの中に、自分の科の先生がスタンバイしているようなものです。使ってみて安心感を手に入れてください」と呼びかける。

 
AGREE社長の伊藤俊一郎氏

最短3分で夜中でも回答

LEBERの主なユーザーは20-40代だ。中でも女性の利用者が半数以上を占める。自身の相談だけでなく、子どもの医療相談も多いからだという。子どもだと自分の体の具合をくわしく説明することが難しく、不安に思う親が相談を寄せているようだ。スマホで24時間対応できるのは安心感につながる大きなメリットだ。そのうえ、医師による回答時間は最短で3分間と素早い。単なる体調不良で体を休めればいいのか、それともすぐに症状に合わせた医療機関に行けばいいのか、専門医からの適切なアドバイスが得られる。

実際に体調不良となって医療機関を突然訪ねても、何時間も待たされることが少なくない。いざ診療を受けても実際はかかる必要がないくらいの症状で、杞憂だったこともよくあることだ。ましてや新型コロナウイルスの感染症が蔓延する中、医療機関で何時間も待たされること自体、大きなリスクとなる。このアプリを利用して実際に受診すべきかどうかや症状に合わせたアドバイスをもらえば、時間や手間の節約できる。これなら子どもや高齢者を抱える家庭や深夜でも安心につながる。

また、LEBERは19年5月から茨城県の事業の一環として、医師不足が課題となっている同県石岡市など3つの自治体で、子育て世帯の健康不安軽減実証実験として活用されるなど、行政からの強い支持も得られている。

実際の利用手順はこうだ。すべてチャットボットからの選択式の問いかけにユーザーが回答し、最終的に症状に合わせた現役の医師につながる。例えば症状で「痛い」「かゆい」などを選択すると、次に「頭」や「右腕」「胴体」など部位を答える。その後、「今日から」「昨日から」などの日時を入力していくと、最終的にその相談内容に応じた医師を紹介される。相談後、医師からは「近隣の医療機関のMAP」や「市販薬」などをアドバイスされる。このアプリを使って相談したユーザーののうち約8割が相談後に「不安が減った」と答えたという。料金は月額350円と550円の定額制(いずれも税込み)。月額550円の場合、最短3分間で医師からの回答が得られるという。

LEBERによる医師からの相談結果のイメージ

企業の健康管理にも

また、中小企業の中には法人プランを導入して社員の健康管理に役立てる例もある。伊藤氏は、「100人くらいの事業所なら月額2万円で使い放題です。日常の健康管理以外に、例えばある部署で離職率が高いとしたら、アプリを使って社員にミニ・ストレスチェックをしてもらうことも可能です。そのデータを基に、課題を分析できます」と説明する。

また、同社関連の住宅型有料老人ホームの運営会社にLEBERを入れてストレスチェックに活用してもらったところ、離職率が導入前の49%から13%に激減したという。高いストレスを抱えた人を可視化できたことで、小規模事業所にもかかわらず産業医の配置を決めたほか、特定の部署で腰痛を訴える従業員の方が多いことも分かり、パイプ椅子をすべて取り替えたことで腰痛被害が激減した。さらに、眼精疲労の訴えもパソコンの輝度を下げるなどして対応するなどした結果、従業員のストレスが下がったという。LEBER導入が企業として具体的な行動を促すきっかけになった。

 

実は伊藤氏は数年前までは心臓外科医として医療現場の最前線に立つ日々を送っていた。ただ、医師不足をはじめとする疲弊する医療現場を目の当たりにする中、今後の少子高齢化の加速で医療財政がますます圧迫されることを懸念していた。LEBERの開発は、日本の医療現場を少しでも改善したいという強い思いが後押しした。伊藤氏は、「日本は医療機関が隅々にまである一方、過剰診療が懸念されています。このままでは医療リソースが足りなくなり、現場の医師がますます疲弊しています」と訴える。

現役医師がスマホの奥に

LEBERのサービスを始めた2018年当初は「知り合いの50人ほどの医師に声をかけ、参加してもらった」と伊藤氏は振り返る。現在は口コミで登録者数が増え、200人以上の現役医師が登録している。医師の方も、休日や休憩時間に無理なく参加できるとあって、好評だという。

新型コロナウイルスの感染拡大で、世の中の動きが一変する中、在宅勤務やビデオ会議など、企業や個人で急速に進んでいる。振り返ってみると、実はどうしても対面でなくてはならないことは意外に少ないのかもしれない。オンラインによる医療相談もそうだ。技術の進歩で実際に医療機関を受診しなくても、信憑性のある情報が得られるようになった。ネットで病状を自己診断しようとしても、これだけ情報があふれる現在、難しい。それだけに実名の現役医師がスマホの奥にいれば、いざという時の安心感につながりそうだ。


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