東京都が自動運転&ロボットの実証実験に全力を入れ始めた!

ZMPの自動運転タクシー(2020年1月)

「100年に1度」と言われる大変革期の中にある自動車業界。「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」と呼ばれる大きなうねりの中で、既存の自動車メーカーだけでなく、巨大IT企業など新たなプレーヤーの参入も進む。東京都は自動運転の社会実装実現に向け、2019年度に2つの実証実験に取り組んだ。都だけでなく日本の抱える高齢化や人手不足などの社会問題を技術で解決する最先端都市を世界にアピールする狙いがある。(取材・小林健人) 19年10月に2週間かけて行った八丈島での実証では、八丈島観光協会やNTT東日本、群馬大学などと連携し、空港と街中の観光協会を結ぶルートで自動運転バスを1日3往復させた。観光客の反応や回遊性を調査し、自動運転の有効性を検証した。MaaS(乗り物のサービス化)の発想を取り入れ、乗車予約から決済までアプリで済むようにした。 もう1つは20年1月に、都心部で自動運転ベンチャーのZMP(東京都文京区)や日の丸交通(同)などが実施者となり、空港リムジンバスの拠点と東京駅周辺を複数の乗り物を乗り継ぐつなぐ実証実験だ。成田・羽田空港からはリムジンバス、そこからは東京・丸の内エリアへの自動運転タクシー、さらに丸の内エリアはZMPの自律走行モビリティー「ロボカーウォーク」で回る。これもMaaSの発想だ。実際にモビリティーを利用した乗客からは「急ブレーキや急発進の不安があったが、動きが滑らかで違和感なく乗れた」との声があった。 施策を担当した東京都の先端事業推進担当課長の前林一則氏は、「事前に目的地を入力し、到着できれば外国人観光客の利便性も高まります」と手応えを語る。 日本政府観光局によれば、インバウンド(訪日外国人客)数は2018年は約3100万人と10年間で約3.7倍に伸びた。特に都はインバウンドの約半数が訪れる。こうした需要に対応するためにも、自動運転技術の普及促進は重要になってくる。 さらに一連の施策は観光客だけでなく、高齢化に伴う交通弱者の支援という側面もある。高齢ドライバーの起こす交通事故が増えつつある中、国は運転が困難になった高齢者へ免許返納を呼びかけている。そのため免許返納者にバスやタクシーなどの利用を促すが、運転手の高齢化と人手不足で実際の対応は簡単ではない。 都は自動運転を通じ、事業者の人手不足と高齢者や妊婦など交通弱者への支援を促進する構えだ。八丈島の実験に参加した島民は「自動運転が普及すれば、車を持たなくても買い物に行ける」と期待を口にする。 自動運転実験に留まらず、都では昨年、ロボットと人間が共存しつつ多様なサービスを提供する実証実験として、19年度に「Tokyo Robot Collection」を開催した。都内5カ所で運搬やAI案内、調理、警備などのロボットが登場し、都民を驚かせた。「技術力の高さは実感してもらえたと思います。今後は触れ合ってもらう機会を増やしていく考えです」(前林氏)。 ただ、実用のハードルは高い。1つはコストの問題だ。人との共存を想定するため、安全性のコストがかさむ。技術的にも屋外での使用を意識し、雨天でも利用できることが求められる。遅滞なくロボットを動かすため通信設備や大規模な電気設備も必要だ。都としてロボット利用を推進していく方針だが、開発事業者との協力が欠かせない。 さらに法規制の問題もある。例えば現在のままでは公道で運搬ロボットを走らせることはできない。都は国との協議を通じてこれらの実証実験で得られた課題を共有するほか、政府の国家戦略特区の利用も検討している。 これとは別の課題として前林氏は「導入を検討している事業者がロボットのできることが認知されていないと感じます」と語る。都としては自動運転やロボットの一層の普及のため、国やロボット事業者、ロボット導入者の橋渡し役を担っていく考えだ。東京五輪・パラリンピック、さらにその先を見据え、世界に向けて最先端都市をアピールしていく。 <関連記事>

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