墓石売れず霊園開発に乗り出した日本有数の石材業者、「乱れた経営」は鎮魂できず倒産へ

丸長石材、急成長も粉飾決算・着服が発覚

写真はイメージ

丸長石材は2005年に前身となる企業の商圏を引き継ぐ形で設立された墓石販売業者で、関西の霊園30カ所内外に販売事務所を設置して営業を行っていた。同社は14年10月期から急成長を遂げる。霊園約250社と契約を結び、大型霊園墓地開発受託を手がけ、病院や葬儀屋、仏壇販売業者などと関係強化を図り、同期には売上高約9億5900万円と前年同期比40%増を達成する。 その後も毎期30%以上の成長を見せ、18年10月期には約26億8300万円まで拡大。全国でも最大規模の石材業者となっていた。墓石が売れないこのご時世に短期間で事業拡大に成功したのは代表取締役川下順也氏の手腕が大きいと言われていた。 一方、右肩上がりの業績と同様に取引金融機関数や借入金は急増し、グループ取引銀行数は17行、金融債務は約26億円超に膨張。そうしたなか、18年下旬に開発プロジェクトでは見積もりが甘く、建設資金が不足する事態が発生する。過大な投資に嫌気がさした一部の金融機関が距離を取り始めた。 同社にメーンバンクはなく、一度資金調達のサイクルが崩れ始めると、資金が枯渇するまでは早かった。借り入れができなくなると金融機関への返済を延滞。その後、外注先への支払い遅延や給与遅配などが発生し、ずさんな経営状態が次々に明るみに出たことで取引先が相次ぎ撤退していた。この事態にも代表は逃げるのみで、取引先や金融機関への説明責任が果たされることはなかった。 こうしたなか、8月に代表が脳梗塞で倒れる事態が発生し、経営のかじ取り役が不在となってしまう。グループ売上高40億円超、日本有数の石材業者まで急成長した企業はわずか数カ月で、誰からも信用されない企業となっていた。9月に財務状況を調査した結果、過年度におよぶ粉飾決算と川下代表による多額の着服が発覚したことで自主再建を断念し、10月30日に民事再生法の適用を申請した。(帝国データバンク情報部)

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