人工ダイヤモンドの量子センサー、車載センサーやがん細胞検知に

リン添加で高度化に成功、京大など

ダイヤモンド中の結晶構造で磁場を検知する(京大提供)

 京都大学化学研究所の水落憲和教授と産業技術総合研究所の加藤宙光主任研究員らは、人工的に合成したダイヤモンドにリンを添加し、磁場に対する高い感度を持つ量子センサーを開発した。高感度を実現するために必要となる、センサー内の電子の動きを重ね合わせる時間で、従来の5倍以上に当たる2・4ミリ秒を達成。10年内の実用化が見込め、車載センサーや温度測定によるがん細胞検知、脳や心臓の計測など、広く応用が期待できる。  人工ダイヤモンドによるセンサーは、結晶構造中で炭素原子の代わりに窒素原子と空洞が配置された「NV中心」が持つ電子の動きを観測することで成立する。従来、ダイヤモンド内の不純物はノイズの原因となり、感度を落とすと考えられていた。しかし、電子の状態を安定させることを優先してリンを添加すると、適切なリン濃度では電子の動きの重ね合わせ時間が大幅に延びるとわかった。リン以外の不純物を取り除けば、さらに記録の延長が見込める。  人工ダイヤモンドは合成の低コスト化が進んでおり、高精度で結晶構造を制御できるため、用途に応じた性能のセンサーの容易な製造が期待できる。

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