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細胞が分泌する小胞「エクソソーム」を医療へ、2社がタッグ

テオリアサイエンスとセルソース
細胞が分泌する小胞「エクソソーム」を医療へ、2社がタッグ

提携したテオリアサイエンスの水谷社長(左)とセルソースの裙本社長

 テオリアサイエンス(東京都千代田区、水谷隆之社長、03・5829・4760)とセルソース(東京都港区、裙本〈つまもと〉理人社長、03・6455・5308)は、患者自身の細胞から抽出した自家エクソソーム(細胞が分泌する小胞)の臨床応用、および事業化に向けて事業提携した。細胞から分泌される粒でありながら抗炎症などの作用を持つといわれる同物質を治療に活用する。2019年中に変形性関節症の治療に使い始め、研究を進めたい考えだ。

 テオリアサイエンスが研究を進めてきたエクソソームを、セルソースが脂肪組織由来幹細胞(脂肪幹細胞)から抽出し、実用化する。エクソソームは細胞間の情報伝達の役割を担う小胞。情報伝達のために炎症や痛みを軽減させる物質をはじめとするさまざまな物質を内包している。

 今後、実際の治療に使いながら研究を進める。患者自身の脂肪幹細胞からエクソソームを抽出して患部に注入する。裙本社長は「エクソソームは活用分野が広い。製薬化も視野に入れながらしっかりと基礎を構築したい」と話している。
(2018年9月11日)
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
細胞間のコミュニケーションに使用されている「エクソソーム」は、近年、急速に研究が進んでいます。がん細胞は正常細胞より多くのエクソソームを放出しており、がんとの関連が特に注目されています。

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