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“人間カメラ”アートが問い直すコミュニケーションの価値

東京イベントツアー開催目指す
 アーティストのエリック・シュウ氏は、人間自身が〈カメラ〉になって人とのふれ合いを増やすプロジェクト「TOUCHY(タッチー)」の東京イベントツアー開催を目指す。タッチーは、頭に2眼カメラをかぶったユーモラスな見た目。目にあたる2眼レンズのシャッターは通常閉じており、出会った人がタッチーに触れると、シャッターが開き、コミュニケーションを取れる。インターネットの普及でオフラインのコミュニケーションが希薄化する中、タッチーは誰もが思わず笑顔になるふれ合いを仕かけることで、その価値を問い直している。

 東京ツアーでは、渋谷や秋葉原、新橋、巣鴨へタッチーが出かけて行き、その場で出会う人へタッチーとの体験を通じて直接のふれ合いの楽しさを伝える。ツアー開催のため、クラウァンディング用プラットフォーム「キャンプファイヤー」を通じ、7月31日から9月7日の期間で資金を調達する。今後、東京以外の全国各地でのイベント開催も期待される。

 

 タッチーのプロジェクトは2012年に始まった。これまで香港やポーランド、オーストラリアなど海外美術館に招請された。タッチーの目は、触れ合わなければ開かないため、そのままでは移動するのも困難で、いつもふれ合いを必要としている。10秒間ふれ合っていると内蔵のカメラで本当に写真を撮影できる。

 現在、多様な人たちとのコミュニケーションが社会的な関心事となっている。インターネットは遠くの場所のできごとを知るには便利だが、直接的なふれ合いが減り、孤独も生んでいる。タッチーは、普遍的なふれ合いの価値を再認識できる。このことが、多くの人から共感を呼んでいる理由と言えそうだ。

クラウドファンディングの予告ページ

 

梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
直接ふれ合ってコミュニケーションすることはおもしろい、と素直に感じられるアートです。

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