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内燃機関では絶対に負けない!マツダがいよいよ“究極のガソリンエンジン"投入

「HCCI」で燃費3割向上、19年導入
 マツダは8日、都内で技術開発戦略に関する説明会を開き、2019年に燃費を従来比で最大20―30%高めた新型エンジンを導入すると発表した。独自の燃焼技術により、環境性能と走行性能を両立させた。19年に1車種で採用し、その後、採用車種を広げる方針。同時に30年までに、同社が販売する自動車の平均CO2排出量を10年比で50%削減する計画を公表した。新型エンジンや電気駆動技術をてこに、同目標を達成させる。

 「内燃機関の徹底的な理想追求を行うことで世界一を目指し、内燃機関の可能性を追求する」―。小飼雅道社長は電動車両化の流れが加速する中で、内燃機関にかける思いを強調した。

 新型エンジン「スカイアクティブ・エックス」の肝になるのは、「HCCI(予混合圧縮自動着火)」という技術で、非常に薄い混合気をディーゼルエンジンのように自己着火させて、効率的でクリーンな燃焼を可能にする。

 HCCIを実用化段階に進めるために、マツダ独自の燃焼方式「SPCCI(火花点火制御圧縮着火)」技術を開発。従来のガソリンエンジンにおける圧縮着火(CI)の実用化で課題となっていたCIの成立範囲を拡大することで、火花点火とCIのスムーズな切り替えを実現した。

 同技術は自動車業界ではどの完成車メーカーも実用化していない技術だ。低燃費を実現する次世代技術「スカイアクティブ」の第2世代と位置づける。小飼社長は「内燃機関の第2段階」と自信をみせた。

 10年ぶりに刷新した技術開発の長期戦略「サステイナブル“Zoom―Zoom”宣言2030」では、内燃機関の高精度化と効率的な電動化技術を組み合わせることで、CO2の削減に取り組む。

 19年から電気自動車(EV)などの電動技術を展開。また自動運転技術の実証実験を20年に始め、25年までに同技術の標準装備化を目指す方針を示した。トヨタとのEVの共同開発について、小飼社長は「マツダのDNAを持った競争力のある商品を訴求しながら、しっかりとしていきたい」と強調した。
日刊工業新聞2017年8月9日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
HCCIは一つの手段で、重要なのはガソリンもディーゼルも燃料をすごく薄くして燃やすこと。すべての領域でHCCIで回せるわけではなく、始動時や高負荷領域は通常燃焼となり、切り替えるのが大変。超高圧縮比にするので通常燃焼でも普通に回せば異常燃焼の嵐になる。今のスカイアクティブエンジンと比較にならないほど課題も多いだけに、非常に仕上がりが楽しみだ。

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