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初音ミク、宇宙でネギを振る。「ニコニコ技術部」がロケットを飛ばすようになるまで

サムサット、ネギ振る「はちゅねミク」を撮影・配信
初音ミク、宇宙でネギを振る。「ニコニコ技術部」がロケットを飛ばすようになるまで

サムサット01のイメージ(サムサット提供)

 歌声合成ソフトから生まれた仮想アイドル「初音ミク」は今や日本のポップカルチャーの中で一定の地位を占めており、海外にもファンが多い。

 会員制交流サイト(SNS)を通じて集まったメンバーで構成する任意団体「ソーシャル・メディア衛星開発プロジェクト」(SOMESAT=サムサット)は、初音ミクをデフォルメしたキャラ「はちゅねミク」の人形を宇宙に打ち上げ、ネギを振らせるというユニークな取り組みを進める。ネギ振りの動作を軌道上で撮影し、画像データをネット上で流そうとしている。
 


 任務を遂行するのは1辺10センチメートルの立方体で質量は1キログラム以下の超小型衛星「サムサット01」(仮)。現在、10人弱で開発に取り組む。他の衛星に相乗りできるロケットを探しており、2022年までの打ち上げを目指す。

 開発が始まった10年ごろは、はちゅねミクのネギ降りがネット動画で流行した時期と重なる。動画のアップロード競争の中で現組織の前身となる「ニコニコ技術部」ができた。16年3月には、ロケットの打ち上げ機関との契約などに関して法人であることが適切という判断から、一般社団法人として小型宇宙機器開発協会を設立した。

 同協会の平口静也代表理事は、「他のアニメのキャラクターと組んで宇宙開発を身近なものにできるのではと考えている。さらに衛星のバス(基幹系)機能を整え事業化も検討していく」と夢を膨らませている。
(文=冨井哲雄)
日刊工業新聞2017年7月7日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
初音ミクの生みの親であるクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之氏は「初音ミクはボーカロイドの枠にとどまらず、技術開発のモチーフになっている」と話していました。プロジェクト開始から7年が経過しても研究が続いており、その求心力の1つとしても初音ミクが少なからず役立っているようにも思いました。

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