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医療機器開発の”死の谷"、中小企業はどう乗り越える?

現場の声をフィードバック、政府が支援事業
 政府は、医療機器の開発で医療従事者の意見を収集して企業にフィードバックする支援事業を夏にも始める。異業種からの参入を促す狙いで、これまで医師など医療従事者との接点が少なく、ニーズを踏まえた製品開発が難しかった中小企業の新規参入につなげる考え。現場の声を反映させることで、市場性の高い製品開発が続く状態を目指す。

 経済産業省と日本医療研究開発機構(AMED)が中心となり、支援事業を行う。まず、企業が開発した製品に対する評価をAMEDに依頼。企業の目的を把握した上で、AMEDが医療機関を選定する。当初は3病院ほどが協力して実施する計画。

 製品は試作機や市場投入した後の製品のほか、まだモノづくりに着手していないコンセプト段階であっても対象とし、医師などに評価を求める。

 企業にとっては、製品開発に直接関与していない医療従事者の意見を聞くことで、市場性の有無や課題の把握が容易になる。評価結果はAMEDを介して企業にフィードバックする。

 AMEDを事務局とし、医療機器開発に関心を持つ企業を支援する政府の「医療機器開発支援ネットワーク」では、専門人材「伴走コンサル」の相談のうち、企業規模では中小企業が最も多く、約45%を占める。自動車部品や精密加工を手がける中小企業などから、事業戦略や技術開発の相談が多い。

 ただ、新規参入を目指す中小企業の中には、医療関係者との接点が少なく、ニーズを踏まえた開発が難しいとの課題があった。
                       

日刊工業新聞2017年6月15日
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
医療機器の開発、実用化で課題となる“死の谷”。いくつものハードルを超えるためには現場の声が欠かせない。

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