ニュースイッチ

テルモがカテーテルで世界で戦うためにの“開発型工場”

静岡・富士宮の拠点で、市場に一番乗りとなる新規性の高い製品を
テルモがカテーテルで世界で戦うためにの“開発型工場”

センターの「クリニカルリサーチルーム」では医師や複数のチームでのコミュニケーションを促進

 テルモは愛鷹工場(静岡県富士宮市)にカテーテル製品の開発エリア「TISマスタリーセンター」を新設した。投資額は約10億円で開発スペースは従来比6割増の約3600平方メートルに広がる。生産現場と直結した開発拠点として、革新的な製品を生み出す。中期経営計画で掲げる「内部開発力」を高め、持続的成長につなげる。

 「市場に一番乗りとなる新規性の高い製品を一つでも多く生み出していこう」。12日の開所式で佐藤慎次郎社長はこう訴えた。

 新拠点は「開発から生産まで一貫してできるというのがコンセプト」(佐藤社長)だ。全3階を内階段でつなぎ、フリースペースを設けることで、技術者同士の交流を促し、創造性を生み出す。工場内という立地を生かして、試作や改良なども迅速にでき、案件ごとに柔軟に人材を充てることも可能だ。

 心臓・下肢などのカテーテル治療領域を扱うTIS事業は、主力の心臓血管領域で脳血管内治療(ニューロバスキュラー)事業に並ぶ成長株だ。だが規模拡大で開発案件が増える中、開発エリアは手狭になっていた。

 テルモは16年度に3件のM&A(合併・買収)を成就させ、17年度の売上高、営業利益が過去最高を見込むなど業績は好調だ。

 だが、海外大手との競争は激化している。革新的な製品は競争力の維持・向上に欠かせない。「成長戦略に買収は重要。ただ、不確実性の高い買収に依存するのは危険で、内部開発力を強化する必要がある」(同)。

 今年4月に研究開発拠点の湘南センター(神奈川県中井町)に長期を見据えた研究開発組織「コーポレートR&Dセンター」を発足。今夏には脳血管治療用機器を手がける子会社の米マイクロベンション(カリフォルニア州)に新社屋を完成し、開発・生産機能を拡充する。新センター開所も、この一環だ。

 佐藤社長は「愛鷹工場は開発型工場。全体のキャパシティーが限られている中で、ライフサイクルに合わせ変えていく」と話す。技術を蓄積し、大量生産が可能になった製品は山口工場(山口市)など他拠点に移し、空いたスペースで新製品を生み出し続ける。新センターは好循環を実現する舞台となる。
(文=村上毅)
日刊工業新聞2017年5月16日
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
新拠点のコンセプトづくりにあたって、大手空調メーカーの研究開発拠点を見学するなど多くの企業の事例を参考にしたそうだ。単に拠点を改装するだけではなく、新しいものを生み出す最適な場作りは何か-。医療機器業界にとらわれず、他業種も含め革新を生み出している企業のノウハウを取り入れることが、「限界を超える」ために必要なのかもしれない。

編集部のおすすめ