なぜ不整脈である心房細動が脳梗塞の原因に?
抗血栓療法の服用では納豆が食べられないことも
血液をサラサラにする薬と聞いて、「納豆が食べられなくなる」と思う人は、かなりの事情通です。
それは、ワルファリンという薬の話ですが、心房細動の治療の一つ目の柱、抗血栓療法に使う代表的な薬です。まずはこの治療法についてお話しします。
なぜ、不整脈である心房細動が脳梗塞の原因になるのか?
ヒントは血栓、つまり血液の塊です。心房細動は心臓の上半分、補助ポンプである心房で1分間に250から350回もの電気興奮がたえず湧き上がっている状態。
たくさん興奮しているのだから良さそうなものです。しかし、あまりにもたくさんの電気興奮があると、絶えず収縮して、心房が拡張する時間がなく、けいれんしている状態と同じようになります。
補助ポンプとしての働きが失われ、血液の流れがゆっくりになって、よどんでしまい、血液が固まって心臓の中に血栓ができてしまうのです。たえず流れや動きがないと、清い水も腐ってしまうのと似ています。
その血栓が、心臓から出て脳の血管内で詰まってしまうことで、脳梗塞を引き起こします。大きな血栓が脳の太い血管を詰めてしまい、激しい症状を出すことがあり、心房細動が引き起こす脳梗塞は“ノックアウト型脳梗塞”と呼ばれています。
ワルファリンは、血液が固まるときに必要なビタミンKの働きを抑えることで血栓をできにくくします。たくさん服用すればするだけ、強い効果を発揮します。
薬の効果が弱ければ、脳梗塞を防ぐ力が弱い一方で、効果が強すぎれば反対に出血の原因になります。そのため、薬がどのくらい効いているかを定期的に血液検査でチェックする必要があります。
また、ビタミンKを多く含む納豆は、冒頭で紹介したように制限されることになります。最近、食事制限の必要のない新規経口抗凝固薬も使用できるようになっており、薬剤の選択肢が増えました。
抗血栓療法は、副作用である出血のリスクを負う治療方法です。そのため、(1)心不全、(2)高血圧、(3)75歳以上、(4)糖尿病、(5)過去に脳卒中を起こしたことがある―などの脳梗塞を起こすリスクが高い人に勧められます。特にこれまでに、脳卒中を起こしたことがある患者は、再発のリスクが高いと判断され、抗血栓療法が必要とされています。
<次のページ、発作性段階なら85%根治>
それは、ワルファリンという薬の話ですが、心房細動の治療の一つ目の柱、抗血栓療法に使う代表的な薬です。まずはこの治療法についてお話しします。
なぜ、不整脈である心房細動が脳梗塞の原因になるのか?
ヒントは血栓、つまり血液の塊です。心房細動は心臓の上半分、補助ポンプである心房で1分間に250から350回もの電気興奮がたえず湧き上がっている状態。
たくさん興奮しているのだから良さそうなものです。しかし、あまりにもたくさんの電気興奮があると、絶えず収縮して、心房が拡張する時間がなく、けいれんしている状態と同じようになります。
補助ポンプとしての働きが失われ、血液の流れがゆっくりになって、よどんでしまい、血液が固まって心臓の中に血栓ができてしまうのです。たえず流れや動きがないと、清い水も腐ってしまうのと似ています。
その血栓が、心臓から出て脳の血管内で詰まってしまうことで、脳梗塞を引き起こします。大きな血栓が脳の太い血管を詰めてしまい、激しい症状を出すことがあり、心房細動が引き起こす脳梗塞は“ノックアウト型脳梗塞”と呼ばれています。
ワルファリンは、血液が固まるときに必要なビタミンKの働きを抑えることで血栓をできにくくします。たくさん服用すればするだけ、強い効果を発揮します。
薬の効果が弱ければ、脳梗塞を防ぐ力が弱い一方で、効果が強すぎれば反対に出血の原因になります。そのため、薬がどのくらい効いているかを定期的に血液検査でチェックする必要があります。
また、ビタミンKを多く含む納豆は、冒頭で紹介したように制限されることになります。最近、食事制限の必要のない新規経口抗凝固薬も使用できるようになっており、薬剤の選択肢が増えました。
抗血栓療法は、副作用である出血のリスクを負う治療方法です。そのため、(1)心不全、(2)高血圧、(3)75歳以上、(4)糖尿病、(5)過去に脳卒中を起こしたことがある―などの脳梗塞を起こすリスクが高い人に勧められます。特にこれまでに、脳卒中を起こしたことがある患者は、再発のリスクが高いと判断され、抗血栓療法が必要とされています。
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日刊工業新聞2016年2月12日/19日