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職場でイライラ…日本では女性の方が怒りの感情を気にしている!?

話題の「アンガーマネジネント」、その実情と実践方法
 職場や家庭でイライラして怒鳴ったりとストレスが多い現代社会。そこで注目されているのが、怒りの感情と上手につきあう“アンガーマネジメント”。

 アンガーマネジメントは1970年代に米国で開発された心理トレーニングである。当初は軽犯罪者に対する矯正プログラムなどに使われた。怒りやイライラをコントロールすることを狙いとしているが、怒るのがダメということではない。

 アンガーマネジメントとは、怒る必要のあることを上手に怒れるようになり、怒る必要のないことは怒らないようになる。日本ではこの数年に急速に浸透し、日本アンガーマネジメント協会の講座受講者は昨年は延べ18万人で前年比7割増えた。

 昨今では、アンガーマネジメントを導入する職場が増えており、大企業なども研修に力を入れている。岡山県の中学校では、アンガーマネジメントを教育方法の一環として試みている。

 生物学的には男性のほうが怒りっぽい。米国では男性が受講するものだが、日本では30―40代の女性が多い。同協会の話しでは2011年のスタート当初は、ほぼ女性のみだったといい、現在も男女比は4対6と女性が大半を占める。

 アンガーマネジメント協会の入門講座では具体的には、三つのコントロールを実践することを掲げる。第1が「衝撃のコントロール」で“怒りの感情のピークが過ぎるように6秒待つ”ことを実行している。反射的に怒鳴らず、深呼吸するなどしてみる。

 第2が「思考のコントロール」で、相手の行動を(1)全く問題ないこと(2)少しイラットするけど許せること(3)許せないこと―の三つの基準に分ける。

 第3が「行動のコントロール」で、怒りを(1)重要かどうか(2)変えられるかどうか―という二つの軸に分類して行動を考える。“変えられないけど、重要ではない”なら仕方ないと思うといった対処法がある。同協会では“練習すれば誰でもできるようになる”と力を込めている。

 怒りを分類しコントロールして、それにあった行動をすることで、職場や家庭で人間関係を円滑にする“怒り制御の術”としてアンガーマネジメントが今日の社会生活で注目されている。
(文=上野延城 日本経営士会)
日刊工業新聞2017年3月2日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
相手が不機嫌な状態を忖度して働くのもなかなかストレスがたまるが…。部下や後輩に「怒る」のではなく「叱る」ことは重要。「叱る」意味の中には相手への期待や信頼、愛情が入っている。

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