「電線御三家」は再び輝けるか
光ファイバー絶好調も、岐路に立つ“祖業”電線
送電線、海外市場での戦い
情報通信関連が好調な一方、送電線や銅関連事業などの“祖業”は収益性の向上が喫緊の課題だ。電力供給の中枢である50万ボルト以上の超高圧電線を生産できるのは世界でも日系メーカーを含め数社のみ。
だが、超高圧帯の受注頻度は少なく、設備や人員の維持コストが重荷となって採算が合わない。
モルガン・スタンレーMUFG証券の五老晴信マネージング・ディレクターアナリストは「今後は海外市場で戦っていかなければならない」と指摘する。
新興国を中心に11万―25万ボルト以下の送電線の需要が伸びているが、ライバルである中国や韓国メーカーとのコスト競争は避けられない。また、電線世界1位の伊プリズミアン、2位の仏ネクサンスなどが君臨する欧州市場の攻略も課題だ。
フジクラは国内市場の現状を「電力会社の設備投資抑制が影響している」(伊藤社長)と分析。配電線・架空送電事業のミャンマーやブラジルへの展開を進める。
住友電工は独シーメンスと連携し、インドの高電圧直流送電システムを共同受注した。白山正樹住友電工常務執行役員は「高電圧直流送電の先端技術を持つ2社の革新的な協力関係」と語る。
(文=渡辺光太)
日刊工業新聞2017年4月5日