難関インスタグラムのAPI審査を突破した設立2年の新進ベンチャー
SnSnap・西垣代表インタビュー「落とされ続け直接行った方がいいと」
「インスタグラム」などソーシャルメディアを活用した写真プリントサービスで急成長しているSnSnap(東京都渋谷区)という会社をご存じだろうか。約2年前に設立されインターネット販売などから実店舗に顧客を誘導するオンライン・ツー・オフライン(OツーO)のマーケティング事業で大手ブランドなど向けに急成長している。昨年にはプライベート・エクイティ・ファンドが全株を取得、制約の少ない経営支援と資金を受けサービスを強化中だ。
代表の西垣雄太氏は若干27歳。大手企業でも認可を得ることが難しいといわれるインスタグラムのアプリ連携仕様(API)も取得。インフルエンサーマーケティングに精通する新世代の起業家はどのようなバックグランドと未来を見据えているのか。
—学生時代から起業という考えはありましたか。
「ありました。大学在学中にApple Storeで働いていたことと、留学をしたことが大きいです。ちょうどiPhoneが出たり、そこで100年に1回くらいのデジタルの変化を目の当たりにして、自分もあんなものをつくってみたいと思っていました」
—卒業して最初にアップルの日本法人に入ったんですよね。
「はい。マーケティングに興味がありましたし、グローバルという軸でもアップルはトップだと思っていたので。日本法人の仕事はどちらかというとブランディングに近かったですね。会社にいれば、いろいろなチャンスがあるかもしれない。でも若い時にはそんなにチャンスはないのかな、と思っていました。そうしたら、周りの同世代で起業する人たちがいっぱい出てきて、自分もスタートアップ寄りの進路に変わっていったんです」
—そこですぐ起業ではなくて。
「マクロミルという会社に入ったんです。SurveyMonkeyに近いQuestantというアンケートツールや、今はなくなってしまいましたけど、ミセコレという食べログみたいなサービス、あとantennaというサービスを始めるということで、『アップルにいたんでしょ、興味があったらどう?』ということになって、第二新卒で入社して、事業戦略室というところで新規事業をみさせてもらっていました。ダウンロード数の管理などもやっていましたね」
—そこでの経験を今ふりかえると。
「活きてますね。マーケッターの人がどういうデータをみたり、どういうリサーチをするのか、どういう風に新商品を出していくのか、効果測定をしていくのかがわかりました。当時、新規事業側も見ていたので、広告出稿がどういう風にキュレーションメディアについてくるのかもわかりました。ブランドの広告出稿の凄さとかも」
—今は結果的にO2O(オンライン・ツー・オフライン)のサービスになっていますけど、どういう思考で考えたんですか。
「通常の雑誌、新聞が読まれなくなり、キュレーションメディアだ、ブログだ、youtube だ、という感じで個人の媒体力が確実に高まって、それで広告メディアがよりインディビデュアルになってきていると。Facebookに次いでInstagramも出てきて、そこのマーケットは大きく、お金になるな思っていたんです」
「一方で、メディア側はたくさんあり過ぎて大量にコンテンツが出回り、自分が好きな情報をメディアから探すのって大変だなと、という感覚を持っていました。僕らの世代が接する時間が多いのは、チャットするLINEとか友達があげているInstagram、Twitter、FacebookなどのSNSです」
「ブランド関連で仕事をしている僕の友人からSNSをなかなか活用できていない、という話を聞いていました。来場者からどれくらい拡散されたかというKPI(重要指標)もあって大変そうで。1度、そのイベントに行ってみたんですけど、運営者が『ハッシュタグつけてTwitterでつぶやいて下さい』とか『イベントの写真をSNSにアップして下さい』とやっているんですけど、参加者には何のインセンティブもないのにやらないですよね」
「イベント運営者はリアル体験のビジュアルをネットに上げてもらいたい、という希望があることははっきり分かりました。アパレルとかのレセプションで、フォトブースでプロのカメラマンに撮ってもらう一方で、参加者は自分の携帯でも撮ってそれアップしたり。Instagramを使ったマーケティングはもう海外は当たり前にやっていて、自分もある程度の知識は持っていたので、最初、画面に映し出すサイネージとかに投稿した写真を流し込んだらおもしろいと考えたんです」
「プロのカメラマンが撮ったもの印刷して、それをプレゼントしていたりもしていたので、そのまま、プロのカメラマンが撮ったものを、サイネージに流したり、投稿してもらったり、クーポン付の写真をプレゼントすればすごく流れいいのに、と思いました。デジタルだけより、アナログクーポンの方が参加者に新しい体験価値が提供できるはず、と考えたんです。どれくらいのビジネスになるか分からなかったのですが、現在のCTO(最高技術責任者)で、当時の友達だった平沼(SnSnap共同創業者兼CTO 平沼真吾氏)に話して作ったのが#SnSnapのβ版でした」
—平沼さんと知り合ったのは。
「ハッカソンですね。平沼と最初に出会ったのは伊藤園さんの『茶ッカソン』ではお互い違うチームだったんですけど、懇親会で意気投合して。後日こういうものがあるんだけど、って話したら、一緒にやっていこうということになって土日に会うようになっていきました」
—起業しようとして動き出したのは。
「そうですね。2015年5月のPayPalさんのハッカソンで、準優勝したんですね。そのとき評価した人たちから『一番よかったよね』とか、『シンプルだけどビジネスになりそう』と言われたのがあったのと、なんとなく25歳までに1回チャレンジしたいと思っていたので、僕だけパーンと会社をやめてがっつりコミットしました。平沼には土日とかに作ってもらったりして、必死に動いていたら、最初はMicrosoftさんやFlying Tigerさんとか大手が使ってくれたんです」
—このサービスがいけると思ったのは。
「リリースした時はテック系の利用を想定していたんですが、同じ時期に色々なアパレルやファッションなどのブランドさんたちに食いついてもらったときですかね。そこで、ブランドさんがリアルイベントに対して困っているなと思ったのと、うちの見積もりで、そのままいける企業さんもいることも知って、これはおもしろいなと。それで2カ月目から黒字化したんです」
「何万枚写真が撮れる時代になっても、アナログだからこその熱量があると思っていて、こんなにデジタルが普及していても、ライブなどに多くの人が行くじゃないんですか。一方で、デジタルは世界中に共有できるし、今まで難しかったものを表現できるようになったと思っています。そういうデジタルとリアルの境目がなくなりつつある時代に生きている中で、そこをうまく活かした体験値の高いサービスにしたかったんです」
—O2Oに興味がそもそもあったのですか。
「ガジェットが世の中に出たりしていて、そういうものは作ってみたいなと思っていました。そこにInstagramの伸びもあったので」
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代表の西垣雄太氏は若干27歳。大手企業でも認可を得ることが難しいといわれるインスタグラムのアプリ連携仕様(API)も取得。インフルエンサーマーケティングに精通する新世代の起業家はどのようなバックグランドと未来を見据えているのか。
きっかけはApple Storeから
—学生時代から起業という考えはありましたか。
「ありました。大学在学中にApple Storeで働いていたことと、留学をしたことが大きいです。ちょうどiPhoneが出たり、そこで100年に1回くらいのデジタルの変化を目の当たりにして、自分もあんなものをつくってみたいと思っていました」
—卒業して最初にアップルの日本法人に入ったんですよね。
「はい。マーケティングに興味がありましたし、グローバルという軸でもアップルはトップだと思っていたので。日本法人の仕事はどちらかというとブランディングに近かったですね。会社にいれば、いろいろなチャンスがあるかもしれない。でも若い時にはそんなにチャンスはないのかな、と思っていました。そうしたら、周りの同世代で起業する人たちがいっぱい出てきて、自分もスタートアップ寄りの進路に変わっていったんです」
—そこですぐ起業ではなくて。
「マクロミルという会社に入ったんです。SurveyMonkeyに近いQuestantというアンケートツールや、今はなくなってしまいましたけど、ミセコレという食べログみたいなサービス、あとantennaというサービスを始めるということで、『アップルにいたんでしょ、興味があったらどう?』ということになって、第二新卒で入社して、事業戦略室というところで新規事業をみさせてもらっていました。ダウンロード数の管理などもやっていましたね」
—そこでの経験を今ふりかえると。
「活きてますね。マーケッターの人がどういうデータをみたり、どういうリサーチをするのか、どういう風に新商品を出していくのか、効果測定をしていくのかがわかりました。当時、新規事業側も見ていたので、広告出稿がどういう風にキュレーションメディアについてくるのかもわかりました。ブランドの広告出稿の凄さとかも」
広告がよりインディビデュアルに
—今は結果的にO2O(オンライン・ツー・オフライン)のサービスになっていますけど、どういう思考で考えたんですか。
「通常の雑誌、新聞が読まれなくなり、キュレーションメディアだ、ブログだ、youtube だ、という感じで個人の媒体力が確実に高まって、それで広告メディアがよりインディビデュアルになってきていると。Facebookに次いでInstagramも出てきて、そこのマーケットは大きく、お金になるな思っていたんです」
「一方で、メディア側はたくさんあり過ぎて大量にコンテンツが出回り、自分が好きな情報をメディアから探すのって大変だなと、という感覚を持っていました。僕らの世代が接する時間が多いのは、チャットするLINEとか友達があげているInstagram、Twitter、FacebookなどのSNSです」
「ブランド関連で仕事をしている僕の友人からSNSをなかなか活用できていない、という話を聞いていました。来場者からどれくらい拡散されたかというKPI(重要指標)もあって大変そうで。1度、そのイベントに行ってみたんですけど、運営者が『ハッシュタグつけてTwitterでつぶやいて下さい』とか『イベントの写真をSNSにアップして下さい』とやっているんですけど、参加者には何のインセンティブもないのにやらないですよね」
「イベント運営者はリアル体験のビジュアルをネットに上げてもらいたい、という希望があることははっきり分かりました。アパレルとかのレセプションで、フォトブースでプロのカメラマンに撮ってもらう一方で、参加者は自分の携帯でも撮ってそれアップしたり。Instagramを使ったマーケティングはもう海外は当たり前にやっていて、自分もある程度の知識は持っていたので、最初、画面に映し出すサイネージとかに投稿した写真を流し込んだらおもしろいと考えたんです」
「プロのカメラマンが撮ったもの印刷して、それをプレゼントしていたりもしていたので、そのまま、プロのカメラマンが撮ったものを、サイネージに流したり、投稿してもらったり、クーポン付の写真をプレゼントすればすごく流れいいのに、と思いました。デジタルだけより、アナログクーポンの方が参加者に新しい体験価値が提供できるはず、と考えたんです。どれくらいのビジネスになるか分からなかったのですが、現在のCTO(最高技術責任者)で、当時の友達だった平沼(SnSnap共同創業者兼CTO 平沼真吾氏)に話して作ったのが#SnSnapのβ版でした」
—平沼さんと知り合ったのは。
「ハッカソンですね。平沼と最初に出会ったのは伊藤園さんの『茶ッカソン』ではお互い違うチームだったんですけど、懇親会で意気投合して。後日こういうものがあるんだけど、って話したら、一緒にやっていこうということになって土日に会うようになっていきました」
アナログだからこその熱量がある
—起業しようとして動き出したのは。
「そうですね。2015年5月のPayPalさんのハッカソンで、準優勝したんですね。そのとき評価した人たちから『一番よかったよね』とか、『シンプルだけどビジネスになりそう』と言われたのがあったのと、なんとなく25歳までに1回チャレンジしたいと思っていたので、僕だけパーンと会社をやめてがっつりコミットしました。平沼には土日とかに作ってもらったりして、必死に動いていたら、最初はMicrosoftさんやFlying Tigerさんとか大手が使ってくれたんです」
—このサービスがいけると思ったのは。
「リリースした時はテック系の利用を想定していたんですが、同じ時期に色々なアパレルやファッションなどのブランドさんたちに食いついてもらったときですかね。そこで、ブランドさんがリアルイベントに対して困っているなと思ったのと、うちの見積もりで、そのままいける企業さんもいることも知って、これはおもしろいなと。それで2カ月目から黒字化したんです」
「何万枚写真が撮れる時代になっても、アナログだからこその熱量があると思っていて、こんなにデジタルが普及していても、ライブなどに多くの人が行くじゃないんですか。一方で、デジタルは世界中に共有できるし、今まで難しかったものを表現できるようになったと思っています。そういうデジタルとリアルの境目がなくなりつつある時代に生きている中で、そこをうまく活かした体験値の高いサービスにしたかったんです」
—O2Oに興味がそもそもあったのですか。
「ガジェットが世の中に出たりしていて、そういうものは作ってみたいなと思っていました。そこにInstagramの伸びもあったので」
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