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快進撃スバル、販売台数が未達でも生命線として守りたいこと

リコール増加傾向で品質を最優先、サプライヤー集め臨時会合
快進撃スバル、販売台数が未達でも生命線として守りたいこと

群馬製作所大泉工場(群馬県大泉町)のエンジン組み立てライン

 「極論を言えば販売台数が未達になってもいい。品質を最優先にしたい」。取引先を集めた年初の会合で富士重工業社長の吉永泰之は品質強化を徹底する決意を語った。最近スバル車のリコール件数が増加傾向にあるからだ。世界生産の急拡大、部品の共通化などが背景にある。

 「スバルの生命線は品質にある」。品質保証担当の執行役員、大崎篤は品質強化策の一環で試作車の開発段階から品質をチェックする仕組みの導入を決めた。現在進行中の新型車の開発現場には、技術者と並んで試作車を見つめる品質保証担当者の姿がある。

 従来は試作車の開発が終わった段階で品質管理の作業に入っていた。より早い段階で課題を発見し、改善につなげるのが狙いだ。

 一方で、品質を高めるには富士重の努力に加え「サプライヤーの協力が欠かせない」(調達担当の執行役員小林達朗)。富士重は昨年11月、群馬製作所(群馬県太田市)で取引先部品メーカー約300社を集めた臨時会合を開いた。サプライヤーとともに品質を高めていく意思を伝えるためだ。

 今春には品質改善を支援する専門組織を発足する。品質保証や生産技術に知見のある社内の人材を集め、サプライヤーと共同で品質改善に取り組む。エンジン部品など重要保安部品を手がける全国のメーカーを中心に担当者が工場を定期的に訪問し具体的な改善策を提示する。取り組み状況や結果も共有する。生産部門にあるモノづくり支援組織を参考にした。

 世界販売の拡大に伴い、富士重だけでなくサプライヤーも生産のゆとりがない。こうした中「これまで品質面では支援が手薄だった。もっとサプライヤーに寄り添って品質レベルを高めていかなければならない」。大崎は専門組織設置の意義を説明する。

 安全性が高いブランドイメージが定着しつつある富士重にとって品質問題は命取りになりかねない。全社を挙げた品質改善プロジェクトが始まった。(敬称略)
日刊工業新聞2017年3月23日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
100万台を超えてきてさらに今後は自動運転やつながつクルマなど新たな課題が出てくる。エンジン制御と情報制御の考え方も大きく変えていく必要がある。

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