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ソニーが国内4工場をIoTで統合管理。“少量多品種”の時代に近づくか

民生・業務用エレクトロニクス分野の30製品群が対象か
ソニーが国内4工場をIoTで統合管理。“少量多品種”の時代に近づくか

ソニーの国内工場の生産ライン

 ソニーは国内の4工場で、IoT(モノのインターネット)を活用した統合管理に乗り出す。生産効率や品質の向上に加え、消費動向の変化に柔軟に対応できる少量多品種生産体制を確立する。各工場間で生産プロセスや工程管理手法も共有する。国内4工場では民生用・業務用エレクトロニクス分野の30製品群で、完成品や部品の生産を手がける。2017年度中に、一部の工場で運用開始を目指す。

 国内生産拠点を統括するソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ(SGMO、東京都港区)が、システムを開発する。レンズや微細部品などの精密加工を手がける幸田サイト(愛知県幸田町)で、15年に刷新した生産管理システム(MES)を発展させる。

 MESはワーク(加工対象物)を運ぶトレーに固有のIDを付けて工程を管理する。各工程の設備・作業状態なども記録する。

 今後、各工場にMESをベースとする新生産管理システムを導入し、工場間をネットワーク化する。センサーや映像解析などを使って、作業者の動線管理も行う計画。全工程のネットワーク化や、予兆管理も視野に入れる。

 統合管理によって、各工場間の工程比較が容易になる。これまでは各工場ごとに、加工や工程管理の手法のノウハウを蓄積してきた。今後はIoTを活用した分析の結果、優れているとされた手法を全工場で共有化していく。

 SGMOはカメラやテレビ、スマートフォンなどの民生用に加え、放送用機器や医療機器といった業務用のエレクトロニクス製品を手がけている。従来は主に大量生産に適した生産管理システムだったが、現在は市場の多様化が進む。工場へのIoT導入を加速し、少量多品種生産にも対応する生産システムを構築する。
『スマートファクトリーJapan』
 製造現場や生産管理の先進化や効率化を目指す「スマートファクトリーJapan 2017」を2017年6月7日(水)〜9日(金)の日程で、東京ビッグサイトにて開催。本展示会は、製造工場においてスマートファクトリーを実現するうえで、欠かすことのできない「IoT」や「インダストリー4.0」を搭載した生産管理・システムをはじめ、製造設備・装置、その他、生産工場に関する技術・製品を展示公開いたします。

 また、昨年まで「クラウドコミュニティ」という名称でセミナーセッションを中心に企画展を実施してまいりましたが、時代の潮流に合わせてID獲得型フォーラムとして「IoT・AI Innovation Forum」を同時開催いたします。
【出展者募集中】
日刊工業新聞2017年3月8日
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
従来は各拠点の縦割り意識が強かったが、構造改革を経てノウハウの共有など横串を刺した体制が取れるようになってきたという。「ソニー流インダストリー4.0」に向けた取り組みに注目したい。

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