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「CXー5」、絶好調の滑り出し。色褪せてなかったマツダのブランド力

国内販売、初月は目標の7倍。次はディーゼルで米国に挑む
「CXー5」、絶好調の滑り出し。色褪せてなかったマツダのブランド力

マツダ「CXー5」(公式ホームページより)

 マツダは7日、新型スポーツ多目的車「CX―5」の5日時点の累計受注台数が、1万6639台になったと発表した。同車は2月2日に発売。月間販売計画台数を2400台に設定しており、その約7倍を達成した。

 商品性の高さのほか、下取り価格を高い状態で保てる売り方に取り組んだことが奏功した。「マツダの考え方に共感していただいた」(高場武一郎国内営業本部ブランド推進部主幹)と分析する。

 受注構成比をグレード別に見ると、安全装備や技術を充実させたグレードが受注全体の95%を占めた。商品性の高さを顧客が認めた格好だ。

 2012年の初代「CX―5」発売と同時に、マツダは値引きに頼らず、商品価値を訴求する販売手法に着手。下取り価格が以前より高く保てるようになった。新CX―5の下取り車比率を見ると、マツダ車が全体の66%と、初代より15ポイント向上。初代から乗り換えたユーザーも4割近くを占め、高場主幹は「下取り価格が高いうちに乗り換えたほうが得だと認識してもらえるようになった」とした。

 小飼雅道社長は「新たな成長ステージに向けた本格スタートを、この車で切る」と意気込む。

 先代は、新世代製品群のトップバッター。製品群は世界で高い評価を受け、マツダの世界販売台数は約30万台増加し、ブランドイメージの向上と、事業躍進につながった。2代目はさらなる成長の試金石で「打順は再び一番に戻った」と小飼社長。

 そして今年後半には北米で初めてディーゼル車を投入、その大役に「CX―5」を選んだ。走行性能と燃費性能を両立させた上で、北米の厳しい排ガス規制に適合させている。

 クリーンディーゼルエンジン「スカイアクティブ―D2・2」はノッキング音を抑える独自技術を採用し、静かで心地よいエンジン音も実現した。

 一昨年、独フォルクスワーゲン(VW)がディーゼル車で排ガス試験を不正に受けていた事件が発覚。事件を受けて排ガス規制の厳格化が世界的に進む一方で、戦略上のディーゼルの位置づけが後退する動きが広がっている。

 国内クリーンディーゼル市場をけん引してきたマツダ。VWの不正問題を受けて国土交通省が実施したディーゼル車の実走行試験で、マツダの車種だけ基準値を満たした。

 敵失を機にマツダの独自技術が再評価された。ディーゼル開発の技術者は「VWは尊敬していただけに不正は残念だった。複雑な心境だ」と話す。規制が最も厳しい米国市場でディーゼル車が受け入れられれば、米国でのシェア拡大に弾みがつく。
日刊工業新聞2017年3月8日記事に加筆
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
最近、何かと不振が伝えられていたマツダ。最初の販売台数目標は保守的に出すもので、ある意味このぐらい突きつけないとダメだと思っていた。この勢いが持続できるか。プレミアム技術に対し、販売改革が追いついたきたかを見るのは、二番バッター以降を見てからだろう。

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