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ショート・発火しにくい、リチウム電池。産総研が開発

 産業技術総合研究所先進コーティング技術研究センターの片岡邦光主任研究員らは1日、材料に酸化物の単結晶を使い、電池内部でショートが発生しづらい「全固体リチウム二次電池」を開発したと発表した。1平方センチメートル当たり10ミリアンぺアを流してもショートしなかった。医療機器に使うバッテリーなどへの応用が期待できる。企業と連携し、2020年頃までの実用化を目指す。

 従来品は1平方センチメートル当たり0・6ミリ―0・8ミリアンぺアでショートしていた。片岡主任研究員は「大型単結晶固体電解質の育成に、世界で初めて成功した。さらに、世界最高のリチウムイオン導電率を達成した」と述べた。

 研究グループは、酸化物系の固体電解質材料「ガーネット型酸化物」を、従来の10倍程度のリチウムイオン導電率を持つ単結晶に合成。ショートの原因となる現象「デンドライト」の発生を防いだ。さらに微粒子をガスと混合して基板に噴射し、電極と電解質を接合した。リチウムイオン導電率や電極と固体電解質の界面の接合強度に課題があった。

 リチウム二次電池は携帯電話やノートパソコンなどのバッテリーとして広く使われる。しかし、可燃性の有機電解液を使うため発煙や発火事故の危険性がある。一方、不燃性の材料「無機固体電解質」を使う全固体リチウム二次電池は、そうした懸念が少ない。
            
日刊工業新聞2017年2月2日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
詳細は15日から東京・有明の東京ビッグサイトで開く国際ナノテクノロジー総合展・技術会議で発表するそうです。

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