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Pepper家売るお手伝い、“会話”弾んで顧客数が増加

IoT時代のサービスロボットに期待する本当の役割
Pepper家売るお手伝い、“会話”弾んで顧客数が増加

独自の会話エンジンで人とスムーズに会話するPepper


会話ログからわかったこととは


 これら4つの独自機能を搭載したPepperを各店舗に配置してTAISHIを介して会話させ、PepperとTAISHIそれぞれの会話ログをひも付けることで、どんな属性の顧客がどんな会話をしているのかというデータが取得できている。その中には既述のような、マンションか注文住宅かなどの居住形態や人気のエリアなどのようなマーケティングに資するデータも含まれている。これらのデータを活用すれば、顧客の属性に合致したマーケティングや新しいサービスの提供などにつなげられるという。

 顧客とのインターフェイスとしてPepperを有効活用するうえで大きなポイントとなったのが会話機能だった。特に「人間との会話に近づけ、ロボットであることを意識させない、ストレスを感じさせない会話」というリクルートテクノロジーズの開発コンセプトが効果的だった。また、Pepper以前にSNSで提供してきた会話型サービスで積んだノウハウも大きい。Pepperに話しかけるとおもしろい回答が返ってきて自由な会話が楽しめるという同社の狙いが顧客から多くの会話データを収集できることにつながった。

スーモカウンターのPepper は独自の会話機能でコミュニケーションする

各店舗の特性に合ったマーケティングができる


 Pepperの導入でサービス利用者を増やすという効果のほかにも大きなメリットがあった。「それはPepperで交通量調査をできるようになったことです」(塩澤さん)

 Pepperを使えば店頭を通過する人の年齢層、性別、感情(表情から分析)といったデータを容易に収集できる。従来はコストなどの制約から交通量調査(店頭を通過する人の調査)や客層の把握ができなかった。しかし、Pepperの標準機能である人の認識機能を活用することで容易に交通量調査ができるようになった。それにより店舗ごとに店頭を通過する人の属性が異なることが明確になり、その結果、それぞれの店舗に合ったマーケティング施策を実施できるようになった。

 さらに、その店頭を通過する客を店内まで誘導するきっかけにPepperは大いに有用だった。これまでは、店頭を通過する人や立ち止まる人に店員が話しかけると、営業されるという警戒心を相手に与えてしまうというリスクが伴い、なかなか店員も声をかけられなかった。しかし、Pepperを導入したことでPepperを見て足を止める客も増え、それらの人に話しかけるきっかけができたという。

 Pepperには、店頭を通る人に警戒心を与えず、同時に興味を引かせるという特性があり、それはスーモカウンターの店員をサポートする大きな機能ともいえる。Pepperはかなり優秀な営業マンのようだ。
日刊工業新聞2016年12月2日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
人間が接客するよりも、ロボットが接客した方が素早く顧客情報を収集できます。しかし最近ではあらゆるところにPepperがいるので、「ロボットがいるから足を止める」という効果は薄れつつあります。

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