業界紙でしか見れない決算まとめ。押さえておきたい6業種
リース各社4―9月期、建物リースが伸長
リース大手9社の2016年4―9月期連結決算が出そろい、6社が当期増益となった。既存のファイナンス・リースがおおむね横ばいで推移する中、日銀のマイナス金利政策導入により、不動産市場が活況で建物リース事業を持つリース会社が伸長した。下期は海外経済情勢や為替の動向を不安視する見方が多く、下方修正した日立キャピタルと非公表のオリックスを除く7社が期初の17年3月期連結決算業績予想を据え置いた。
三菱UFJリースの小早川英樹常務は下期について「航空機リースなどグローバルアセットがけん引するだろう」と述べた。オリックスは下期以降も引き続き環境エネルギー関連への投資などに力を入れていく。
東京センチュリーは「リース」を根幹としつつも、金融と事業の融合による新たな価値創造に向けた取り組みやオート事業、海外ビジネスなど16年度からの中期経営計画で示した方針に基づき経営戦略を進める。
芙蓉総合リースの細井聡一常務は「建物リースはプレーヤーが多くなく、一般のリースと違い競争は限定的だ」と述べる。下期も建物リースを中心に需要があるとみて、経営資源を向ける計画。
中計最終年度のリコーリースは業績自体はおおむね達成する見通しだが、リース・割賦、金融サービスの各事業の取扱高予想を引き下げた。瀬川大介社長は「将来に向けた利益重視の表れ」とした。
リース大手各社は既存ビジネスだけではなく、成長分野でも事業を拡大することで、持続的な成長を目指していく。
情報サービス10社、通期は9社が営業増益見通し
情報サービス主要10社の2017年3月期連結決算業績予想は、企業のIT投資が堅調に推移していることから、9社が営業増益を見込む。これまで活況だった金融業・流通業向けだけでなく、医療機関や製造業など幅広い業界の需要を取り込んでいる。さらに成長の足かせとなっていた不採算案件も順調に改善している。
近年、景気の回復基調により、IT投資に対して幅広い業界が前向きな姿勢をみせている。動きの鈍かった製造業も「約5億円の規模だが、製造のライフサイクルを一元管理する(PLM)ソフトが堅調だ」(謝敷宗敬新日鉄住金ソリューションズ社長)という。
既存システムの更新や成長に向けた新システムの構築、海外拠点の基盤整備などニーズも多様化している。特にITと金融を融合した「フィンテック」やIoT(モノのインターネット)などの分野で、事業の成長を支援するようなIT投資に関心が集まっている。
だが一方で「16年3月期に比べて、若干の減速感を感じる」(菊地哲伊藤忠テクノソリューションズ社長)という声も聞かれており、楽観視できる状況ではない。さらに円高が続く中で、自動車など一部の輸出型企業を中心にIT投資を抑制する動きも出ている。
情報サービス業界では、企業ごとにカスタマイズして一からシステムを構築していく受託型ビジネスで稼ぐ傾向が根強く残る。このため景気動向と顧客の業績に影響しやすく、先行きの不透明感は拭えない。開発・構築だけでなく、コンサルティングから保守まで一元的なITサービスを展開し、いかに長期的に顧客企業との関係性を続けていけるかが、今後の業績の安定性を保つ上でカギを握る。
また他の業界から遅れている海外展開も課題の一つだ。少子高齢化が進む中、国内需要が縮小していくのは目に見えており、長期的な成長を目指すには海外展開は必須と言える。だが各社の大半が内需で潤っていることから、これまで海外拠点の情報システム支援という国内案件の延長線上での対応にとどまっているのが現状だ。
そうした中でTISや日本ユニシスは、決済など注力分野を絞り込み、東南アジアでの本格的な事業展開に乗り出している。またNTTデータは他社に先駆けて海外事業を着実に成長させている。17年3月期内には米デルのITサービス事業の買収も完了する予定で、事業の相乗効果が見込めそうだ。
岩本敏男社長は「各国で(IT業界の)トップテンに入らなければ、グローバル企業として認められない。その達成に向けて(各国での)プレゼンスを向上させる」と語り、20年までに海外売上高比率50%を目指す。
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