業界紙でしか見れない決算まとめ。押さえておきたい6業種
*総合化学の4−9月期、石化事業で明暗
総合化学6社の2016年4―9月期決算は石油化学部門が明暗を分けた。住友化学以外の5社は営業利益が従来予想を上回った。為替の円高進行という逆風がありながら、堅調な内需などを追い風に汎用化学品の販売増が貢献した。一方、住友化学は内需の恩恵を受けにくい事業構造が痛手となった。下期の見通しは各社一様に慎重で、為替動向や中国景気など世界経済の先行きを懸念材料と見ている。
三菱ケミカルホールディングスが8日に発表した4―9月期連結決算は営業利益が5月予想比230億円増の1200億円だった。小酒井健吉専務は「上期は石化のスプレッド(利ザヤ)拡大が収益を支えた」と述べ、ポリオレフィンやアクリル樹脂原料のメタクリル酸メチル(MMA)が利益全体を押し上げた。一方で、エチレンプラントの設備不良により石化関連で約60億円のコア営業減益要因があった。
旭化成は4―9月期の営業利益を従来予想比77億円上積みした。「エチレンチェーン中心に収益性が改善した」(坂本修一常務執行役員)とし、ケミカル部門の営業利益が同42億円増の317億円と伸長した。三井化学も基盤素材部門の営業利益が同8億円増の118億円で、前年同期比では2・7倍に拡大。ポリオレフィンの国内販売増加が貢献した。
東ソーの4―9月期の営業利益は従来予想比123億円増の413億円と好調だった。石化のほか、塩化ビニル樹脂などのクロル・アルカリ部門でも塩ビやウレタン原料のスプレッドが改善した。
宇部興産は化学部門の営業損益が5月予想の10億円の赤字から一転して4億円の黒字に転換した。ナイロン原料の市況改善などが寄与。ただ、主力工場の定期修理が重なり、他社と比べて利益の上積み幅は限定的だった。
業績が下ブレした住友化学は千葉工場のエチレンプラント停止などの結果、化学品の内需の恩恵を十分に受けにくい。加えて、サウジアラビアの合弁会社のペトロ・ラービグの設備トラブルも影響し、石化部門の営業利益は前年同期比50%減の67億円と落ち込んだ。
ステンレス関連企業の業績が回復してきた。主原料のニッケル価格が上昇し、販売単価もこれに連動。在庫評価損益も改善してきた。需要も引き続き底堅く、加工メーカーを含む関連5社の2016年4―9月期連結決算でも4社が営業増益を達成した。今後も原料市況、需要が比較的安定して推移しそうなことから、各社とも17年3月期は久々に好業績で着地できそうだ。
一時、1ポンド当たり3ドル台半ばまで落ち込んだニッケルの市場価格は6月以降、同4ドル台後半で推移。8月以降、2度の値上げを打ち出した日新製鋼の水元公二副社長は「ステンレスの荷動きは良い。ようやく一息つけた」と安堵(あんど)する。同社の4―9月期決算でステンレス事業の在庫評価損は7月予想の55億円から35億円まで圧縮。これを除く実質的な経常損益も「海外のグループ会社の業績が良かった」(水元副社長)ため、前年同期の10億円の赤字から損益ゼロまで回復した。通期も前期の20億円の赤字から10億円の黒字へ転換する。
新日鉄住金ステンレスは「戦略商品の構成を増やし、輸出よりも採算の良い国内の比率を増やした」(丸尾吉則取締役)と言うように高付加価値品の拡販もプラスに効いた。同様に、日本冶金工業も一般材の数量が6%減った半面、高ニッケル材を11%増やし、営業益段階で「数量減で2億円減ったが、高ニッケル材で4億円押し上げた」(小林伸互執行役員)としている。
ステンレス加工メーカーも業績は堅調。日本金属は自動車用光モールに加え、「スマートフォン向けで収益性の高い受注がスポットであった」(下川康志常務)ことなどで大幅増益を達成。高砂鉄工も「自動車向けの磨き帯鋼が想定より早く回復した」(大植啓一社長)ことが寄与した。
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総合化学6社の2016年4―9月期決算は石油化学部門が明暗を分けた。住友化学以外の5社は営業利益が従来予想を上回った。為替の円高進行という逆風がありながら、堅調な内需などを追い風に汎用化学品の販売増が貢献した。一方、住友化学は内需の恩恵を受けにくい事業構造が痛手となった。下期の見通しは各社一様に慎重で、為替動向や中国景気など世界経済の先行きを懸念材料と見ている。
三菱ケミカルホールディングスが8日に発表した4―9月期連結決算は営業利益が5月予想比230億円増の1200億円だった。小酒井健吉専務は「上期は石化のスプレッド(利ザヤ)拡大が収益を支えた」と述べ、ポリオレフィンやアクリル樹脂原料のメタクリル酸メチル(MMA)が利益全体を押し上げた。一方で、エチレンプラントの設備不良により石化関連で約60億円のコア営業減益要因があった。
旭化成は4―9月期の営業利益を従来予想比77億円上積みした。「エチレンチェーン中心に収益性が改善した」(坂本修一常務執行役員)とし、ケミカル部門の営業利益が同42億円増の317億円と伸長した。三井化学も基盤素材部門の営業利益が同8億円増の118億円で、前年同期比では2・7倍に拡大。ポリオレフィンの国内販売増加が貢献した。
東ソーの4―9月期の営業利益は従来予想比123億円増の413億円と好調だった。石化のほか、塩化ビニル樹脂などのクロル・アルカリ部門でも塩ビやウレタン原料のスプレッドが改善した。
宇部興産は化学部門の営業損益が5月予想の10億円の赤字から一転して4億円の黒字に転換した。ナイロン原料の市況改善などが寄与。ただ、主力工場の定期修理が重なり、他社と比べて利益の上積み幅は限定的だった。
業績が下ブレした住友化学は千葉工場のエチレンプラント停止などの結果、化学品の内需の恩恵を十分に受けにくい。加えて、サウジアラビアの合弁会社のペトロ・ラービグの設備トラブルも影響し、石化部門の営業利益は前年同期比50%減の67億円と落ち込んだ。
ステンレス関連回復、通期は4社が増益見通し
ステンレス関連企業の業績が回復してきた。主原料のニッケル価格が上昇し、販売単価もこれに連動。在庫評価損益も改善してきた。需要も引き続き底堅く、加工メーカーを含む関連5社の2016年4―9月期連結決算でも4社が営業増益を達成した。今後も原料市況、需要が比較的安定して推移しそうなことから、各社とも17年3月期は久々に好業績で着地できそうだ。
一時、1ポンド当たり3ドル台半ばまで落ち込んだニッケルの市場価格は6月以降、同4ドル台後半で推移。8月以降、2度の値上げを打ち出した日新製鋼の水元公二副社長は「ステンレスの荷動きは良い。ようやく一息つけた」と安堵(あんど)する。同社の4―9月期決算でステンレス事業の在庫評価損は7月予想の55億円から35億円まで圧縮。これを除く実質的な経常損益も「海外のグループ会社の業績が良かった」(水元副社長)ため、前年同期の10億円の赤字から損益ゼロまで回復した。通期も前期の20億円の赤字から10億円の黒字へ転換する。
新日鉄住金ステンレスは「戦略商品の構成を増やし、輸出よりも採算の良い国内の比率を増やした」(丸尾吉則取締役)と言うように高付加価値品の拡販もプラスに効いた。同様に、日本冶金工業も一般材の数量が6%減った半面、高ニッケル材を11%増やし、営業益段階で「数量減で2億円減ったが、高ニッケル材で4億円押し上げた」(小林伸互執行役員)としている。
ステンレス加工メーカーも業績は堅調。日本金属は自動車用光モールに加え、「スマートフォン向けで収益性の高い受注がスポットであった」(下川康志常務)ことなどで大幅増益を達成。高砂鉄工も「自動車向けの磨き帯鋼が想定より早く回復した」(大植啓一社長)ことが寄与した。
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