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アリババが仕掛けた中国最大の買い物イベント「独身の日」

日本も参戦、SNSで購買意欲を喚起
アリババが仕掛けた中国最大の買い物イベント「独身の日」

アリババ公式サイトより

 消費者向け大手ECサイトが大々的な買い物キャンペーンを実施する中国の11月11日「独身の日」(用語参照)は、同国最大級のショッピングイベント。大手ECサイト「点猫」を運営するアリババは2015年の独身の日に約1兆7600億円(前年比54%増)を売り上げた。これらのサイトに出店する日本の化粧品、日用品メーカーも参戦し、顧客獲得合戦が繰り広げられる。

 コーセーは9月に中国市場に投入した化粧品ブランド「ジルスチュアート」や訪日客に人気が高い美白化粧品ブランド「雪肌精」で10月中旬から事前予約を実施。初の試みとして有名ブロガーによるSNSの生中継も行っている。「独身の日」に販売する商品の情報をイベント前からSNSで発信し、視聴者の購買意欲を高める。

 「去年はそこまであまり力を入れなかった」(直川紀夫執行役員)という資生堂も、今年は「独身の日」を顧客との重要な接点とみて取り組みを強化している。主力化粧品ブランド「SHISEIDO」や中国現地ブランド「オプレ」でオリジナルセット品や広告を集中投下する。「かなりアグレッシブな売り上げ目標」(資生堂)を立てて取り組む。

 日用品メーカーもセット品や大容量品を提供する。ライオンの濱逸夫社長は「独身の日」を絶好の商機とし、「いかにチャンスロスをしないかが重要」と話す。

 他社に先駆けて「独身の日」にプロモーションを展開してきたライオンは、「クリニカ」ブランドの歯ブラシのシェア向上を狙う。中国子会社が持つEC専門部を活用し、「独身の日」当日のサイト上の売れ行きを時間・分単位でリアルタイムに把握。ニーズが高い商品を臨機応変で投入する戦略だ。

 小林製薬は「熱さまシート」など日本からの輸入品を手頃な価格で現地サイトで販売する。今年出店を始めた越境EC「天猫国際」でも、くじを引くと商品や割引特典などが当たる販促を実施する。

【用語】独身の日=“1”が四つ並んだ様を独身者に見立て、93年に南京大学の学生が始めたとも言われる。中国ネット通販最大手のアリババが09年に激安セールを仕掛けたの機に、現在では小売り、メーカーが参加する一大イベントになっている。
(文=山下絵梨)
日刊工業新聞2016年11月11日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
去年のアリババの総取引額は1兆4000億円になったという。11日午前0時にスタート、今年はアップルやマセラティも海外の有名ブランドも商戦に参加する。日本勢も化粧品などだけではいだろう。

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