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弱小球団と呼ばれ続けたベイスターズを躍進させた「空気」のチカラ

<情報工場 「読学」のススメ#17>『空気のつくり方』(池田 純 著)

確実に勝ちを狙いにいける方向から攻めていく


 こうしたベイスターズの「強くなり方」から思い出されるのは、『傍流革命』(東洋経済新報社)に描かれた電機メーカー、コニカミノルタの事例だ。同書の著者、松崎正年さんはコニカミノルタの社長として采配を振るい、「ジャンルトップ戦略」を打ち出して改革に成功、同社を成長軌道に乗せた。

 改革以前のコニカミノルタで、プリンター事業は本流ではなく「傍流」だった。松崎さんはその傍流事業に注力。本流の事業では上位にいる企業に勝ち目がなかったからだ。競争相手の少ない傍流事業で「ジャンルトップ」をめざし、それに成功することで、社員たちに自信がついた。それが原動力となって会社全体が成長していったというのだ。

 もちろんベイスターズとコニカミノルタでは業種がまったく異なる。だが、正攻法ではなく、確実に勝ちを狙いにいける搦め手から攻め、「勝ち組」の空気をつくる、という方法は共通するものといえるだろう。

 あまたの自己啓発書にも「小さな成功体験」を積み重ねることの重要性が説かれている。小さなことであっても成功し、達成感を得ることで自信がつく。その自信がパワーとなって大きな成功に結びつく、といったものだ。

 「自信」や「空気」を、あいまいなものとして信用しない人もいることだろう。だが、あいまいで不定形のものであるからこそ、方向をしっかりと定めれば、思い通りに流れていくのではないか。先行き不透明なこの時代には、「空気」の巧みな操り手が勝者になるのかもしれない。

(文=情報工場「SERENDIP」編集部)

『空気のつくり方』
池田 純 著 幻冬舎
286p 1,400円(税別)
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冨岡 桂子
冨岡 桂子 Tomioka Keiko 情報工場
横浜ベイスターズの他にも、最近では、USJがマーケティングで劇的な回復をしたことも記憶に新しい。(参考:『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』(KADOKAWA刊)ただ、こういった華々しい成功事例の陰には、広報・マーケティング施策を行っても成果が上がらず、何が正解なのかがわからないばかりか、そもそも何が不正解なのかがわからないケースもたくさんあるだろう。空気を操るとは本当に難しい。本書を読みつつ、自社の広報・マーケティングのヒントを探したい。

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