弱小球団と呼ばれ続けたベイスターズを躍進させた「空気」のチカラ
<情報工場 「読学」のススメ#17>『空気のつくり方』(池田 純 著)
確実に勝ちを狙いにいける方向から攻めていく
こうしたベイスターズの「強くなり方」から思い出されるのは、『傍流革命』(東洋経済新報社)に描かれた電機メーカー、コニカミノルタの事例だ。同書の著者、松崎正年さんはコニカミノルタの社長として采配を振るい、「ジャンルトップ戦略」を打ち出して改革に成功、同社を成長軌道に乗せた。
改革以前のコニカミノルタで、プリンター事業は本流ではなく「傍流」だった。松崎さんはその傍流事業に注力。本流の事業では上位にいる企業に勝ち目がなかったからだ。競争相手の少ない傍流事業で「ジャンルトップ」をめざし、それに成功することで、社員たちに自信がついた。それが原動力となって会社全体が成長していったというのだ。
もちろんベイスターズとコニカミノルタでは業種がまったく異なる。だが、正攻法ではなく、確実に勝ちを狙いにいける搦め手から攻め、「勝ち組」の空気をつくる、という方法は共通するものといえるだろう。
あまたの自己啓発書にも「小さな成功体験」を積み重ねることの重要性が説かれている。小さなことであっても成功し、達成感を得ることで自信がつく。その自信がパワーとなって大きな成功に結びつく、といったものだ。
「自信」や「空気」を、あいまいなものとして信用しない人もいることだろう。だが、あいまいで不定形のものであるからこそ、方向をしっかりと定めれば、思い通りに流れていくのではないか。先行き不透明なこの時代には、「空気」の巧みな操り手が勝者になるのかもしれない。
(文=情報工場「SERENDIP」編集部)
池田 純 著 幻冬舎
286p 1,400円(税別)>
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