東京モノレール浜松町駅に改札が2つある理由
JR東日本にオーナー交代。街中に残るM&Aの痕跡
首都圏の空の玄関口「羽田空港」と都心を結ぶ東京モノレール「浜松町駅」。JR 山手線や京浜東北線と接続し、1日の乗降者数は10万人を超えるそうです。そんな浜松町駅には、JRからモノレールに乗り継ぐ際に2つの自動改札機があるのをご存知でしょうか?
JRのコンコースからモノレールに乗り継ぐには、JR側の自動改札(モノレールのりかえ口)を出た後に少し歩き、もう1つの改札(モノレール浜松町駅中央口)を通過しなければなりません。JR山手線・京浜東北線も東京モノレールも運営しているのは東日本旅客鉄道(JR東日本)です。同じ会社が運営しているのであれば、乗り換えの改札は1つでよいのでは思われます。
実は改札が2つある背景には、東京モノレールを巡るオーナーの変遷があります。東京モノレールは東京オリンピックが開催された1964年に開業しました。1967年、モノレールに鉄道車両を提供していた日立製作所が東京モノレールの株式を取得し、その後、日立物流の子会社になりました。
転機は2002年、空港アクセスの強化を狙ったJR東日本が日立物流から東京モノレール株の70%を取得したのです。もともとJRのコンコースからモノレールに直接いける出口はありませんでしたが、乗客の利便性を改善するため、モノレールのりかえ口を開設。ICカードで乗車できるスイカもモノレールに導入しました。
こうしたオーナーの変遷による名残が浜松町駅の2つの改札に現れています。ちなみに日立物流が保有していた東京モノレール株の一部は日立製作所が取得しています。日立は旅客運送事業をノンコア事業として切り離す一方で、車両や自動改札などの鉄道システム事業はJRとの連携を強めて強化する狙いがあったようです。
東京モノレールは同じく羽田空港への路線を運行する京浜急行電鉄とアクセスの速さを争っています。鉄道事業者であるJR東日本の傘下に入り、浜松町駅からモノレールへの乗り継ぎは改善しました。M&Aというと「一部の専門家がやるもの。一般の人には関係ない」と思われがちですが、私たちが街中でよく目にする風景にも知らず知らずのうちにM&Aの影響が隠れているのです。
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M&A Online2016年10月07日