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マツダは国内販売を立て直せるか。担当役員に直撃!

「『新世代店舗』は無理せず毎年20店舗くらいを出す」
マツダは国内販売を立て直せるか。担当役員に直撃!

マツダの小飼社長

**常務執行役員・福原和幸氏
 ―国内販売の苦戦が目立っています。
 「『スカイアクティブ』技術を採用した第6世代製品群の投入が一巡し、新車効果が薄れてきた。もう一つは海外勢の参入で国内市場でもディーゼルエンジン搭載車の競争が激しくなっていることがある。ある程度は想定していたが、たしかに厳しい状況だ」

 ―対策は。
 「『アクセラ』や『アテンザ』に(操縦性を高める制御技術の)『Gベクタリング』を搭載して一部改良し、多くの受注をもらった。運転する楽しさといったマツダが目指している方向性を訴えればまだ伸ばせる。ディーゼルエンジンのよさももっと伝えていく」

 ―次の第7世代製品群が出てくるまで時間が空くようですが、一括企画の問題点では。
 「その時々の最新技術を盛り込んで絶えず車を進化させていけば第7世代が出るまで売れないことはない。一括企画には販売担当にもメリットがある。一つのスカイアクティブ技術がすべての車に展開されているので、説明する側も個々の車の特徴を覚えなくてもマツダ全体を貫く特徴を覚えればいい」

 「当社が目指している方向性を販売の現場まで一気通貫で共有し、お客さまに説明できるようにしたいということだ」


 ―法人販売は。デザイン重視の車は社用に向かないのでは。
 「ディーゼルエンジンは災害発生時にも役立つという評価をもらっている。タンクに入れて携行できる量は、ガソリンは22リットル未満なのに比べ軽油は250リットル未満まで運べ、事業継続性(BCP)に資する。スカイアクティブ車の運転して楽しく疲れない特徴は、社用車にこそ向いている」

 ―ディーラー網など販売体制を強化再編する考えは。
 「ディーラーは今年4月に『オートザム』店でも全車種を販売するようにし、懸案はなくなった。黒を基調とした『新世代店舗』は一気に置き換えると将来同じ時期に更新を迎えるので、無理をせず改装と新規合わせ毎年20店舗くらいを出す」

 「値引き販売をしないことで販売金融の上でも有利になった。中古車価格が落ちないので残価設定型ローンの残価を高くでき、お客さまは負担が少なく車を購入できる」

【記者の目・新車偏重の日本市場に挑む】
 高い評価からしてスカイアクティブ車は国内でもっと売れてもよかった。それがかなわないのはカーナビ「マツダコネクト」の出来が当初悪かったことと、やはり営業力そのものだろう。今後モデルライフは中期から末期に入っていく。随時最新技術を投入し単価下落を防ぐ方針が、新車偏重の日本市場で通じるのか、注目だ。
(文=広島・清水信彦)
日刊工業新聞2016年9月20日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
マツダの記事はよく読まれる。今もランキングトップ10のうち3つがマツダ関連だ。ここからは読者層から考えた自分の仮説だ。マツダ車は思っている以上に「おじさんのクルマ」ではないかと。マツダのほんとの購入層やマーケティング戦略を知っているわけではないが、エンジンなどへのこだわり、このデザインはおじさんにどんぴしゃである。マツダは主婦層がよく乗る軽を自社で持っていない。日本の国内販売がおじんさんと軽に依存している現状から、マツダの国内販売が新車が出る時だけに偏るのは合点がいく。よく比較されるスバルは「走り」を重視しながらアイサイトをうまくブランディングしユーザー層を広げてようとしているのと対照的に映る。マツダはそれが狙いなら、別にあーだこーだ言うこともない。しかし本意ではないのなら、「カープ女子」に売れるクルマを聞いてみてはどうだろう。

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