#25
廃炉ロボコン、高専16組競う 最優秀賞に小山高専
廃止措置人材育成高専等連携協議会(福島県いわき市)と日本原子力研究開発機構は、「第9回廃炉創造ロボコン」を原子力機構の楢葉遠隔技術開発センター(福島県楢葉町)で開いた。小山工業高等専門学校が4年連続で最優秀賞の文部科学大臣賞を受賞した。
全国の高専から14校・16チームとマレーシア工科大学が参加した。今回は東京電力福島第一原子力発電所の廃炉処理で、原子炉格納容器にロボットが入る想定での競技。
格納容器へのアクセスは内径500ミリメートルの狭い配管を通過、斜度65度・幅50センチメートルの階段を降り、燃料デブリ(溶け落ちた核燃料)を想定した対象物(1センチメートル角)を回収する。また、小口径配管(直径40ミリメートル)を通り、グレーチングの隙間を抜けて床へ降り、対象物を回収する。いずれも10分間の競技で、ロボットが見えない場所から有線、無線で遠隔操作した。
茨城工業高等専門学校は全方位移動可能なクローラー機「アリアドネー」、福島工業高等専門学校は3台でロボット搬入出・移動・回収する「ディーシャープ」、小山高専はイモムシの動きをイメージし先端部で回収する「チューブ・ライナー・テン」で挑んだ。
全課題をクリアしたのは小山高専のみだが、学生らは自ら製作したロボットでの競技に満足していた。
同協議会の田口重憲福島高専校長は「福島第一原発の燃料デブリは試験的に回収したが、学生たちの斬新なアイデアが今後のデブリ回収加速化につながることを期待する」と述べた。
日刊工業新聞 2024年12月24日
特集・連載情報
原子力といえば原子力発電がイメージされますが、燃料電池や自動車エンジンの開発にも貢献する基幹技術です。イノベーション創出に向け、「原子力×異分野」の知の融合を推進する原子力機構の『価値』を紹介します