三菱電機、北米 “現地化” 強化…米国第一主義姿勢の強まりに備える
三菱電機が北米で消費地の近くで生産する「地産地消」を強化している。地政学リスクが高まる中、サプライチェーン(供給網)の強靱化(きょうじんか)や顧客の需要に応じた製品を迅速に供給する狙いがある。米トランプ新政権の発足が2025年1月に迫り、米国第一主義の姿勢が強まる中、現地での生産能力強化はリスク回避の有効な手段となる。
三菱電機は10月、米子会社がペンシルベニア州で新工場棟の建設などに約120億円を投じることを発表。データセンター(DC)増加や再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、送配電網関連の電力機器の生産を拡充する。また、7月には約200億円を投じ、ケンタッキー州で既存の自動車部品工場を高効率のヒートポンプ用のコンプレッサー(空気圧縮機)生産に転用することを決めている。いずれも地元の自治体から補助を受ける。
報道各社の取材に26日までに応じた漆間啓社長は、新政権の発足で仮に関税が高くなれば「影響はゼロではないが、できるだけ米国での現地化を少しずつ進めている」と説明。新政権が関税の引き上げなど米国第一主義の政策を強化したとしても、対応が可能との見方を示した。
米国では人工知能(AI)の普及に伴うDCの需要増加や再生エネの導入拡大に伴う送配電網の拡充など、電力機器の需要は力強い。新政権による産業関連の政策変更や補助金削減などのリスクは存在するが、こうした需要は当面続くと考えられる。
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日刊工業新聞 2024年11月27日