北米エンジン不正で特損…日野自動車、当期2200億円赤字も「大きな峠は越える」
日野自動車は29日、未定としていた2025年3月期連結業績予想の当期損益が2200億円の赤字(前期は170億円の黒字)に転落する見通しだと発表した。北米向けエンジンの認証問題にかかる和解金などの費用として、24年4―9月期に特別損失2300億円を計上したことが響く。継続する米当局との交渉などで追加の損失を計上する可能性もあるが、中野靖最高財務責任者(CFO)は「一連の認証関連の大きな峠は越える」との見解を示した。
25年3月期の世界販売台数見通しは、24年4月の期初公表値から4000台減の13万台(前期比0・2%減)に引き下げた。タイなど主力市場の販売低迷を織り込んだ。
一方、売上高や営業・経常利益は期初公表値から上方修正した。日本国内の大型トラックの販売増や値上げ、為替の円安効果、固定費効率化などが寄与する。主力市場について中野CFOは「インドネシアは(25年3月期の)下期に確実に台数が回復し、タイは25年夏ごろから回復するのではないか」と語った。
三菱ふそうトラック・バスとの経営統合協議については「議論が成熟してきている」(中野CFO)とした。両社は日野自の認証不正問題などを理由に、経営統合の最終契約締結と統合実施の時期を延期している。
日刊工業新聞 2024年10月30日