歪みを高感度に検出する半導体薄膜、京大と東北大が発見
京都大学の王吟麗特定助教、東北大学の須藤祐司教授、成田史生教授らのグループは、柔軟な基板上に成膜したカルコゲナイド系のアモルファス(非晶質)半導体薄膜が、一般的な半導体薄膜に比べ、2ケタ以上高い歪み検出機能を持つことを発見した。身に付けたまま健康状態が分かるウエアラブル健康診断システム向けのセンサー材料になる。
研究グループは、ポリイミド基板上に、クロムやゲルマニウム、テルルからなるアモルファス半導体(CrGT)薄膜を形成し、圧抵抗効果を測定。6万という極めて大きなゲージ率を観測し、ほかの半導体材料より数百倍高い感度を示すことを確かめた。
巨大な抵抗変化は、歪みによるCrGT薄膜内の亀裂発生と、その進展に起因していることも明らかにした。実際に、薄膜を使って簡易的な歪みセンサーを作製し、脈拍に応答する明確な抵抗変化を確認した。
CrGT薄膜は柔軟な基板に一般的なスパッタリング法によって成膜でき、その後の熱処理も不要なため、さまざまな柔軟な基板に適用できる超高感度歪みセンサー材料として応用が見込める。
英王立化学会誌マテリアルズ・ホライズンズに掲載された。
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日刊工業新聞 2024年10月17日