ソディック・DMG森精機・牧野フライス…工作機械メーカー、インドに攻勢かける
工作機械各社がインド事業を拡大する。ソディックは2026年までに工作機械の販売・サービス拠点を新設する。DMG森精機は25年に工作機械の現地生産台数を現状比約7割増やし、牧野フライス製作所は現地生産機種を拡充する。同国は経済成長や中国からの生産移管などで設備投資が増加しており、生産・サポート体制の強化や納期の短縮などで需要の取り込みを急ぐ。
ソディックはこのほどインド西部マハラシュトラ州のプネに土地を確保した。工業地帯で顧客となる金型メーカーも多く、主力の放電加工機を中心とした販売・サービス拠点「テクニカルセンター」を同国に初めて建設する。加工精度や速度など顧客の要求を満たすための加工ノウハウも併せて提供する。
放電加工機の在庫も増やし、即納できる体制も順次整備する。現在は受注後にタイで生産してインドに輸出しており、需要にきめ細かく対応する。
DMG森精機は印ラクシュミ・マシン・ワークスに委託している工作機械の現地生産台数について、25年に現状の年約60台から同100台に引き上げる。7月には従来の立型マシニングセンター(MC)に加え、横型MCの生産も開始。農業機械や建設機械向けなどの中・大型部品や鋳物加工の需要を取り込む。日本から輸出する場合と比べ、関税や輸送コストを含め約2割の価格競争力向上を見込む。森雅彦社長は「横型MCは工具のレイアウトなどエンジニアリングも必要で付加価値を提供できる」とした。
牧野フライス製作所は25年までに同国南部ベンガルールの工場で立型MC「Slim5n」を生産する。関連の生産設備を導入するほか、現地向けに一部仕様も変更する。現地生産する機種より大型の部品を加工でき「生産が拡大する4輪車などの需要を取り込む」(宮崎正太郎社長)。
シチズンマシナリー(長野県御代田町)は22年にベンガルールでテクニカルセンターの面積を約2倍に拡張するなど体制を強化してきた。4月には日本で工作機械の修理や加工技術の提案を担う技術者の教育施設を開設。現地の技術者を受け入れており、サービスの質の向上に取り組む。
日本工作機械工業会(日工会)によると7月のインド向け工作機械受注額は、前年同月比43・8%増の49億円だった。自動車やIT関連向けを中心に好調で、3カ月連続で増加した。日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「インドの製造業は非常に元気が出ており、この状況は5年、10年続くのではないか」とし、長期的にも重要な市場になるとの認識を示した。
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