三井化学・住友化学・三菱ケミカル…化学メーカーが加速するそれぞれの新事業
化学メーカーの新規事業開拓の動きが活発になってきた。各社、強みの技術力を生かすなど多様な施策を打ち出す。三井化学は米スタートアップへの出資など自動車向けソリューションに注力するほか、住友化学はウェブを活用した新サービス創出を目指す。新規の素材製品を開発する動きもある。持続的な成長に向け、重要性が増す新たな事業の基盤づくりが欠かせない。
三井化学は米スタートアップのグライドウェイズに出資した。グライドウェイズは自動運転の小型電気自動車(EV)を使った個人用高速輸送(PRT)システムを開発する。一般的な車線の半分以下の車幅で4人乗りの車両が専用レーンを走行し、環境負荷低減とともに交通渋滞の緩和などに貢献できるとみる。三井化学子会社のアーク(大阪市中央区)がドア開閉システム、内装などキャビン空間全体の開発を支援する。
住友化学は植物などの天然素材の売り手と買い手をつなぐ「ビオンド」という新たなサービス展開に乗り出した。農業関連のウェブサイトやアプリケーションを組み合わせた「つなあぐ」でも、ポイントサービスといった普及拡大に向けた取り組みを進める。
一方、三菱ケミカルグループはコークス炉を活用して廃タイヤをケミカルリサイクル(CR)する資源循環型カーボンブラックの事業化に向けて検討を始めた。カーリット(旧カーリットホールディングス)も子会社が持つシリコン単結晶に関わる知見を生かし磁気光学材料事業に参入するなど、各社は技術力を生かした新たな事業展開を活発化している。
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日刊工業新聞 2024年08月27日