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住友化学・日本農薬…化学メーカーの農業支援活発、栽培管理スマート化の中身

住友化学・日本農薬…化学メーカーの農業支援活発、栽培管理スマート化の中身

住友化学のつなあぐ(ウェブサイトイメージ)

化学各社の農薬事業で、人工知能(AI)などのデジタル技術を生かしたサービスが活発化している。住友化学や日本農薬は、スマートフォン向けアプリケーションなどを使ったサービスを展開。独BASFは国内で農作物栽培管理支援システムの提案などに注力する。農薬の製品だけでなく、農家の困りごとや興味に寄り添うサービスや取り組みを通じて農薬関連事業の持続的な成長につなげる。(山岸渉)

「スマホで手軽に使えるソリューションを届けることでデジタル技術を農業現場に取り入れ、持続的な発展に貢献したい」。住友化学アグロ事業部の田々楽智矢事業企画部長はこう意気込む。

住友化学の農業関連のウェブサイトやアプリを組み合わせたデジタルプラットフォーム「つなあぐ」。農業ニュースやコラムなどを掲載するサイトに加え、病害虫診断や水稲生育診断などのアプリも拡充する。住友化学の農薬で培ってきた知見と、サイトやアプリを組み合わせた農業関連の総合情報サービスの強みを生かす。

つなあぐではポイントサービスを開始。農家らに手軽に使って楽しんでもらうことで利用者の増加や定着を期待する。将来的には他社との連携や一部有料でのサービス展開も検討していく。

日本農薬はスマート農業に対応したアプリ事業を強化している。農地に発生した病害虫や雑草についてスマホを使って診断し、防除に有効な薬剤を提案するアプリ「レイミーのAI病害虫雑草診断」の対象作物を拡充した。メロンやブドウなど5作物を追加し、全25作物となった。各地域の診断情報や気象条件から注意すべき病害虫を知らせる「AI予察」機能の本格運用も開始した。

一方、BASFの日本法人であるBASFジャパン(東京都中央区)は、農業経営を扱うウェブメディア「ミノラス」を運営。水稲生産者向け情報コンテンツ「コメニー」などを用意する。

ザルビオの可変施肥マップを基にクボタ製田植機で施肥量を最適化した

JA全農などと連携し、農作物栽培管理支援システム「ザルビオ・フィールドマネージャー」の提案も推進する。衛星画像を使って田んぼで肥料をより多くまいた方が良い場所や、作物の生育状況の良しあしなどを把握できる。AIを使った分析で生育ステージを予測し、適切な作業を促すことも可能だ。クボタの営農支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」とシステム連携し、可変施肥に対応する田植え機で活用できるようにした。

農業は気候変動への対応や就農人口の減少といった課題に加え、大規模農家の増加といった事業環境の変化がある。農業現場のニーズに迅速に寄り添ったサービスや取り組みの重要性が増しており、各社は知恵を絞る。


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日刊工業新聞 2024年7月25日

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