山岳トンネル工事の「ずり出し」自動化、鹿島が開発したシステムの効果
鹿島は10日、山岳トンネル工事の発破で発生した土砂をすくって運搬する「ずり出し」を自動化する技術を確立したと発表した。自社開発の自動化施工システムを使って神岡試験坑道(岐阜県飛騨市)で工事を行い、ずりのすくい取りから運搬、荷下ろしまで一連の作業の自動化を実証した。技能者の心身の負担軽減や省人化につながるほか、安全性を飛躍的に向上できる。
自動ホイールローダーと遠隔バックホー、ホッパーフィーダー、遠隔操作室を連携させて施工する。自動ホイールローダーが切羽(掘削面)付近に飛散したずりをすくい取り、そこから40―60メートル後方のホッパーフィーダーまで後進して投入。ホッパーフィーダーに接続したダンプトラックに自動で積み込む。
さらにすくい取ったずりの重量をセンサーで計測し、残量を推定。ずりの残量が一定量以下になった時点で、作業効率を保つために散乱したずりを遠隔操作室のオペレーターが遠隔バックホーで集積し、ずり出しを継続する。
トンネル内では自己位置の推定と地図作成を行う「SLAM」技術を活用。発破のたびに変化する状況に対応し、計画経路とのズレを30センチメートル以内の精度で自動運転できる。
日刊工業新聞 2024年7月11日