山岳トンネル全断面発破、鹿島が現場製造爆薬で実現
鹿島は25日、国内の山岳トンネル工事で、岩盤面の孔内に装填するまで火薬化しない「バルクエマルション爆薬」の採用による全断面発破を実現したと発表した。掘削作業の施工ステップの一つである装薬の自動化や安全性向上につながる成果。今後、安全性を確保した上で装薬作業の効率化を進め、バルクエマルション爆薬の普及と装薬自動化につなげていく。
バルクエマルション爆薬は海外で多くの導入実績があるのに対し、国内では法的な制約や取扱いの難しさがあり、山岳トンネル工事での導入実績はなかった。同社は火薬製造に関する法的制約をクリアし、移動式製造設備(専用装填機)によるバルクエマルション爆薬の現地製造を可能にした。
装填機先端で初めて混合され、一定時間経過後に火薬化するため安全性が高く、従来の爆薬のように火薬・火工品としての厳しい管理体制は不要。装填機内も安全で機械による自動装填に適している。
専用装填機を用いることで、孔ごとの装薬量・配合データを自動で記録・管理でき、次の発破へのフィードバックが可能。耐水性に優れ、適度の粘性を保持しているため装填率を調整でき、発破する岩盤条件に即した最適な装薬が可能となる。
日刊工業新聞 2024年04月26日