航空機向け「水素燃料電池エンジン」開発…伊藤忠商事、米社に出資
伊藤忠商事は9日、航空機向け水素燃料電池エンジンの開発・製造を手がける米ゼロアビア(カリフォルニア州)に出資し、業務提携契約を締結したと発表した。水素と酸素の化学反応で作る電気でモーターを回転させる同エンジンの販売をアジア圏で推進するほか、水素インフラの整備などに共同で取り組む。出資額は明らかにしていない。環境規制が強まる航空業界のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)需要を取り込む。
ゼロアビアは2023年に19人乗りの航空機に同社製の水素燃料電池エンジンを搭載し、試験飛行を成功させている。25年には9―19人乗り、27年には40―80人乗りの航空機向けで認証取得を目指しており、すでに複数の航空会社から合計約2000基の予約注文を受けているという。
伊藤忠は今回、同エンジンの日本を含むアジアにおける販売代理店契約を締結。保守整備や空港・水素インフラの構築でもゼロアビアと協業する。
国際航空運送協会(IATA)などは50年までにカーボンニュートラルを達成する目標を設定している。航空業界では低炭素化に向けた動きが活発化しており、伊藤忠は持続可能な航空燃料(SAF)に加えて水素燃料電池エンジンの普及も進める。
日刊工業新聞 2024年7月10日