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青果の皮・芯まで活用、三井物産グループが「栄養食品」で提案する新たな価値

青果の皮・芯まで活用、三井物産グループが「栄養食品」で提案する新たな価値

三井物産グループの食品ブランド「サイクルミー」で皮ごとすりつぶしたブドウの活用を始めた

三井物産は手軽に栄養補給ができるウェルビーイング(心身の健康や幸福)推進の食品ブランド「サイクルミー」で、環境に配慮した原料の活用に乗り出した。青果加工で廃棄していた皮や芯をすりつぶし、ピューレ状にした素材などの採用を進める。食品業界では生産・輸送時の環境負荷の低減や異常気象に伴う原料高騰が課題となっている。健康配慮に加え、食品ロスの削減を通じて社会課題に対応する点も訴求し、選別志向が高まる消費者のニーズを取り込む。(編集委員・田中明夫)

三井物産の子会社でサイクルミーを展開するドットミー(東京都千代田区)と、果汁加工・販売の物産フードマテリアル(東京都中央区)が連携する。まずは摩砕機で皮ごとすりつぶしたブドウを原料に使うプロテイン飲料を開発。6月に電子商取引(EC)で発売し、7月中旬から都市部のセブンイレブン約2000店舗で順次販売する。

新商品は朝食で抜きがちなたんぱく質や月経時の女性に不足気味な鉄分を多く含み、食欲がない朝でも手軽に飲める点が売り。さらにポリフェノールを含むブドウの皮を使って食品ロスの削減と栄養付加を訴求する。

今後は他の商品でも廃棄していた食材の活用を進める方針で、トウモロコシの芯や枝豆の皮などをすりつぶして検証している。食料市場では輸送・加工に伴う環境負荷に加え、天候不順によるカカオやオレンジなどの高騰が課題となっている。ドットミーの知念孝祥ジョナサン社長は「素材を余すところなく使う重要性は増しており、(調達や加工を手がける)三井物産グループの強みを生かして新しい価値を提案したい」と意気込む。

消費者庁の推計によると、2022年度の日本の食品ロス472万トンに伴う経済損失は4兆円、二酸化炭素(CO2)排出量は1046万トンで家庭部門の冷房による同排出量の680万トンを上回る。また農林水産省によると食品関連事業者の食品ロスは236万トンと全体の5割を占めており、生産・流通における食品の有効活用は重要だ。

大手商社では食品をめぐる環境対応が広がっている。三菱商事傘下のローソンと伊藤忠商事グループのファミリーマートはそれぞれ、発注適正化や容器改良による消費期限の延長などを通じ30年の食品ロスを18年比で50%減らすことを目指す。豊田通商はグループ会社の食堂などから廃食油を回収し、名古屋港で国内初となる商用化ベースの船舶向けバイオ燃料の供給を始めた。

食材のライフサイクルにおける価値の維持・向上は環境負荷の低減に加え、経済損失の低減や商機につながる。持続可能な食品市場の形成に向けて、サプライチェーン(供給網)を広くカバーする商社の改革力が試される。


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日刊工業新聞 2024年7月3日

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