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「要素技術融合、基盤を構築」…ジェイテクト社長が就任後初会見で語った課題

「要素技術融合、基盤を構築」…ジェイテクト社長が就任後初会見で語った課題

会見するジェイテクトの近藤社長

ジェイテクトの近藤禎人社長(61)は26日、25日の就任後初めて会見し、「ジェイテクトが有する要素技術をうまく融合して使えるような技術のプラットフォーム(基盤)を構築したい」と方針を述べた。自動車部品や工作機械、軸受など各事業の知見や技能を有効活用し、シナジーを最大化してさらに付加価値の高い製品に挑戦することを課題と位置付けた。

自動車メーカーの生産革新やソフトウエア定義車両(SDV)といった新たな潮流を踏まえ、完成車メーカー(OEM)との会話を強化し、受け身の体制から技術プラットフォームを使って提案・解決する体制への移行を目指す考えだ。

モノづくり改革に関して近藤社長は「まずはデジタル活用をしていけるような底上げをしっかりやって力強く効率的な生産体制にしたい」と方向性を語った。デジタル人材の育成など、人への投資も推進する。工作機械についてはデジタルを使って流動的な生産体制を実現する仕組み作りに取り組む。

8月に次期中期経営計画を発表し、より具体的な戦略を示す見通しだ。

素顔/ジェイテクト社長に就任した近藤禎人(こんどう・よしひと)氏  「利他の精神」従業員笑顔に

「従業員を笑顔にしたいという『利他の精神』が自分と共通する」。佐藤和弘前社長は、近藤禎人社長の人柄をこう評する。社外からも「物腰が柔らかく、気配りができる」「仕事に情熱を注ぎ、周りの士気を上げようと工夫しているようだ」との評判で、トヨタ自動車時代の取引先からの信頼も厚い。佐藤氏は「ジェイテクトがまた一段進歩していくために、モノづくりの原点を強化してもらいたい」と期待を寄せる。

出身のトヨタでは生産技術畑を歩み、パワートレーン(駆動装置)生産技術開発などに注力。2020年にはモノづくり開発センターのトップを務め、電気自動車(EV)事業の生産革新に携わった。トヨタ元会長・社長の故豊田英二氏の言葉「時は命なり」を胸に、従業員の時間をムダにせず「人中心の経営を進めていく」と意気込む。

休日はペットの犬とリラックスして過ごし、癒やされている。(名古屋・増田晴香)


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日刊工業新聞 2024年6月27日

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