主要6社で40人、NTTで存在感増す女性役員
NTTグループ各社で女性役員の存在感が高まっている。NTT、NTT東日本、NTT西日本、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTデータの国内主要6社の2024年度の女性役員が19年度比29人増の40人に達した。役員全体に占める女性の比率も同16・6ポイント増の23・7%に高まった。女性役員有志が多様な働き方や持続可能社会の実現を目的に立ち上げたチームが対外活動を始めるなど、元国営企業という堅いイメージが変わりつつある。(編集委員・水嶋真人)
「高校2年生の時にこれからはコンピューターだと思い、大学で情報工学を専攻した。便利で豊かな社会を作りたいとNTTに入社した」。NTT東日本の相原朋子執行役員神奈川事業部長兼神奈川支店長は23日、神奈川県横須賀市の中学生15人を招いて同市内で開いた体験型イベントで“リケジョ”となった自身の経験談を説明した。
同イベントは、NTTグループの女性役員有志らが22年に立ち上げた「チーム・セルフ・アズ・ウィー」の初めての対外活動として企画した。会場には相原氏のほか、NTTの関根万紀子執行役員広報部門長、NTTデータの青木千恵執行役員第四公共事業本部長の女性役員3人が参加。筋電センサーでゲームのキャラクターを操作したり脳波による感性分析を体験したりする参加者たちを見守った。
NTTの関根執行役員は対外活動を始めた経緯について「若年層の理系離れ対策をチームで考える中、将来を考えるきっかけにしてもらおうと中学生向けの体験イベントを企画し、相原氏を通じて横須賀市での開催が決まった」と話す。
女性役員の増加でチーム・セルフ・アズ・ウィーのメンバーは25人に増えた。「今後は他の地域でも開催したい。若者に理系の良さを広めている企業と一緒に活動することも検討していく」(関根執行役員)。NTTデータの青木執行役員も「NTTは地域と密接につながって生活を支える企業だ。地域の活性化につながる施策を女性の目線で実施していきたい」と述べた。
内閣府によると、東証プライム市場上場企業における23年の女性役員の割合は前年比2ポイント増の13・4%に増えた。だが、経済協力開発機構(OECD)加盟国の22年の平均29・6%との差は依然として大きいのが現状だ。
NTTは25年度に女性役員比率25―30%、女性管理職比率15%を目指している。13年度に新卒採用女性比率30%以上を目標に設定して以来、毎年30%以上を達成していることから、チーム・セルフ・アズ・ウィーは女性役員と若手女性社員との対話会を実施し、経験や悩みを共有。次代を担う未来の女性役員の育成も推進する。