ニュースイッチ

韓国で新事業創出、住友化学が半導体後工程テーマに材料開発

韓国で新事業創出、住友化学が半導体後工程テーマに材料開発

新たな研究開発センターの入居予定地(イメージ)

住友化学は韓国ソウル近郊に開設する新たな研究開発センターで、新事業の創出を含めた活動を活発化する。半導体後工程関係を念頭にさまざまな開発テーマに取り組むとともに、韓国での半導体関連材料の生産体制も順次強化する。韓国では生成人工知能(AI)に関わる半導体の需要が旺盛だ。事業環境が変化しているディスプレー関係の最適化を含め、体制整備を通じて次世代の事業成長へ弾みを付ける。(山岸渉)

「市場の情報に近いところにいるのが合理的だ」。住友化学の韓国子会社、東友ファインケムの李種燦社長はこう力を込める。研究開発センターを韓国の主要な情報通信技術(ICT)企業の研究開発拠点や大学、ベンチャーの集積地であるソウル近郊の板橋テクノバレーに設ける予定。顧客や協力企業などとの円滑なコミュニケーションを重視する。

同センターの開発テーマは半導体後工程関係や自動車関係の材料など多岐にわたり、研究開発のスピードアップを図る。李社長は「十数件のテーマを持っており、25年ごろから2、3件が量産化される」と期待する。

半導体材料関係を中心に注力する(東友ファインケムの李社長)

例えば、需要が旺盛な生成AI向け広帯域メモリー(HBM)は後工程における3次元実装でウエハーを重ねる必要があり、放熱性の高い接着剤などに需要があるとみる。

韓国デバイスメーカーの中長期的な投資計画やHBMの需要増などを踏まえ、生産体制も拡充する方針だ。

東友ファインケムは益山市内で用地を取得し、半導体の精密洗浄などに使う高純度薬品の新工場を27年度に稼働する予定。これに先立ち、薬品関係ではアンモニア水を25年度、過酸化水素は26年度に新ラインの稼働を計画しているという。フォトレジスト分野でも、液浸ArF(フッ化アルゴン)レジストの新ラインや、先端の分析装置などをそろえる次世代分析開発センターを設けた。

一方、偏光板などディスプレー関係は中国の台頭により事業環境で厳しい側面がある。だが生産体制の適正化などを通じ、競争力強化に取り組む。「塗工ラインなどの内製化や、安価な原材料でも同じ性能ができるように対応している」(李社長)。半導体以外ではアンテナやイベント向け透明ディスプレー、太陽電池関係の部材などに力を入れる。


【関連記事】 世界の半導体工場で、揺るぎない信頼を集めるクリーン搬送装置
日刊工業新聞 2024年6月5日

編集部のおすすめ